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物流連会長、「物流価格の適正化は荷主との連携で」

2022年6月27日 (月)

行政・団体日本物流団体連合会(物流連)の池田潤一郎会長(商船三井会長)は27日、東京都内で開かれた物流連の定時総会後に記者会見に臨んだ。急激な原油・原材料高や円安によるコスト高の価格転嫁に物流業界が苦労している状況を踏まえて、物流連として荷主業界と連携して価格の適正化に努めるほか、国民に物流に対する理解をもっと深めてもらえるよう取り組む考えを示した。

▲記者会見する物流連の池田潤一郎会長

池田会長はこの日の総会で再選され、2期目に入った。会見では環境対策やパレット標準化といった連合会の施策を引き続き進めるとした上で、直面するコスト高について持論を展開。「物流の世界には価格に転嫁しづらい領域もある。顧客である荷主とよく連携することが大事だが、荷主も円安などの影響を受けている。ニーズをしっかり聴き、安定・効率的な物流を提供し続けていくことが荷主の理解につながる」と述べた。

価格転嫁がしづらい背景として、国民全体の「物流に対する理解」の問題があるとし、「配送料無料」という一部の流通事業者の営業活動を例に出しながら「誤解される恐れがある。適正料金をいただいてこそ、安定的で満足できる配送ができる」と強調。消費者の適切な理解を促すため業界団体として努力したい考えを示した。

米西海岸を始めとする国際物流の混乱については「(膨れ上がった)貨物量が落ち着くまで収束しないのではないか。一方、世界経済の減速懸念もあり、貨物の輸配送にどう影響していくか見極める必要がある」と、なお予測が難しいとの認識を示した。

物流連は27日の総会で、新役員人事を承認した。副会長に久保高伸・日本倉庫協会会長(三井倉庫社長)と真貝康一・日本貨物鉄道(JR貨物)会長が、理事に高木宏明・日立物流社長兼COO(最高執行責任者)が新たに就任した。

物流連は総会に先立ち、主催する「第23回物流環境大賞」の授賞式を開催。大賞の日本通運(東京都千代田区)をはじめ、各賞を受賞した物流企業や荷主企業など22件に池田会長から表彰状が贈られた。

日本通運の受賞事項は「CO2排出量の可視化による脱炭素社会実現に向けた物流支援ツール」の開発で、発着地や貨物重量などを指定すれば、輸送モード別のCO2排出量を一括で算出できるようにしたもの。モーダルシフトを後押しするサービスだ。選考委員会の野尻俊明委員長(流通経済大学理事長)は、「委員のほぼ100%がこの取り組みを大賞に選んだ」と称えた。日本通運の担当者は「CO2排出抑制に物流の果たす役割の重要性を改めて認識した。多くの企業にこのツールを使ってほしい」と感想を語った。

▲(左から)物流連の池田会長、物流環境大賞を受賞した日本通運の担当者