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凸版、農産物の地産地消マッチングシステム開発

2022年7月11日 (月)

産業・一般凸版印刷は11日、農産物の生産者と宿泊施設や介護施設、飲食店など地域の顧客を専用のアプリ上でつないで生産情報と需要情報をマッチングするプラットフォーム「ジモノミッケ!」を開発したと発表した。

凸版印刷は、ジモノミッケ!の使い勝手や事業性を検証する実証実験を、11日から福島県会津若松市とその近隣地域で実施。農産物生産者30社と宿泊施設、介護施設、飲食店、食品加工業者、小売店など30社が参加する。

実証実験は、AiCT(アイクト)コンソーシアム(福島県会津若松市)の「食・農業ワーキンググループ」の一環。凸版印刷は「地域内流通DX(デジタルトランスフォーメーション)とフードロス削減による農業再活性化プロジェクト」の責任事業者を務める。デジタル技術の導入を進める自治体を国が支援する「デジタル田園都市国家構想推進交付金」(デジタル実装タイプTYPE3)の配分先として採択された会津若松市で、凸版印刷は地域内流通DXの実装を通じて、生産者・実需者・地域が一体となった地産地消型の「食・農業」の実現を推進する。

▲「ジモノミッケ!」のサービス概要(出所:凸版印刷)

少子高齢化に伴い、消費市場全体の規模が縮小し売り上げの拡大が見込めないなかで、多くの実需者はコモディティーとしての農産物を欠品しないように確実に仕入れるのと同時に、競合との差別化につながり自社の利益率の向上に寄与する付加価値の高い農産物の仕入れに注力。生産者の顔とこだわりが見える地元産の農産物は、その代表格と言える。

しかし、地方都市における食品流通は、大都市への優先的な供給や一般消費者向け流通サービスの台頭により、地元への流通・供給量が年々減少。地方での農産物流通では、電話やファックスなどアナログな手段を介して取引されているため、実際の供給と需要を定量的に把握することも困難だ。実需者は地元産の新鮮な農産物を手に入れづらく、都市部を経由し入荷される過剰コストのかかった農産物を購入せざるを得ないのが実情だ。

生産者においても、こだわりをもって生産した農産物もコモディティー品と一緒に扱われてしまうなど、都市部への流通コストがかかることを前提にした価格で取り引きされてしまうため、高収益化へのシフトがしにくい問題を抱える。

凸版印刷は、これらの課題を解決するために、生産者と実需者をマッチングするジモノミッケ!を開発。地域内の供給情報と需要情報を可視化し、農産物流通の最適化を「デジタル」と「サステナブル」の両面の観点から支援する。

▲プレ実証中の様子。生産者から農産物を集荷し(左)、実需者に納品(右)