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日野、中・小型トラックの生産を10月から順次再開

2022年9月16日 (金)

荷主日野自動車のエンジン認証不正問題で、同社は16日、生産停止している車種のうち国土交通省が出荷再開を認めた中・小型トラック3車種、バス4車種の生産を10月から順次再開すると発表した。ユーザー企業も巻き込む混乱の解消に向けた一定の前進だが、基準未達のため同省がまだ認めていない大型トラックなどの生産再開は未定で、長期化する懸念も出ている。

▲小型トラック「デュトロ」(出所:日野自動車)

発表によると、生産を再開する車種と再開時期は、中型トラック「レンジャー」(一部車型)が11月1日、小型トラック「デュトロ」とトヨタブランドの「ダイナ」が10月3日。バスは「セレガ」「メルファ」「ブルーリボンハイブリッド」「ポンチョ」で、生産再開時期は「調整中」としている。

レンジャーは古河工場(茨城県)、デュトロ・ダイナは羽村工場(東京都)、各バスはいすゞ自動車との合弁会社ジェイ・バス(石川県小松市)の小松または宇都宮工場で、それぞれ生産を再開する。出荷はすでに9月13日に在庫車両から再開しており、10月の生産再開を経て本格化する予定だ。「顧客と引き続き密にコミュニケーションを取り、混乱をきたすことがないよう準備を進める」という。

一連の認証不正問題では、複数のエンジンについて排出ガス規制値違反や認証取得試験の不正行為が発覚し、日野はわずかな車種を除いて生産・出荷停止に追い込まれた。国交省は9月9日に日野に道路運送車両法に基づく是正命令を発したが、その際、性能が基準に適合していると確認されたトラック・バス用エンジン3種類と建設機械など向けエンジン4機種については、出荷再開を認めていた。

ただ、排ガス性能が基準未達、または燃費性能の諸元値未達が判明したエンジンを搭載する大型トラック「プロフィア」と中型「レンジャー」(一部車型)、バスの「セレガ」「リエッセ2」については、生産再開が見通せない。生産・出荷を再開する車種についても、顧客企業が日野と従来通りの取引を続けるかどうかに不透明な部分がある。

日野は16日、トラック運送会社などのユーザーや部品の仕入れ先、販売会社などに「改めてお詫びする」と陳謝した。「コンプライアンス」「健康・安全」「品質」を「日程」「量」よりも優先し、経営層が現場の声に真摯(しんし)に向き合うといった、反省の姿勢も改めて示した。