調査・データEC(電子商取引)市場の拡大を背景に伸びる宅配需要が小売物流市場の規模拡大をけん引し、2021年度の市場規模が前年度比5.1%増と、GDP成長率(1.7%増)の3倍に相当するペースで拡大したことが、矢野経済研究所の調査で明らかになった。
同社の調査レポートによると、21年度の小売物流市場規模は小売物流を担う物流事業者(物流専業者、物流子会社)の販売高ベースで5.1%増の7兆9000億円(速報値)に達した。拡大の要因について、同社は「小売業全体の市場規模拡大による物量の増加に加え、消費者向け物販での電子商取引(EC)化率の伸長による宅配便などのラストワンマイル物流の増加が挙げられる」と指摘。
これらに加え、人手不足に伴う人件費の値上げによる運送費、燃料費の上昇など、物流に関連する費用の増加も理由に挙げ、特に消費者向けEC関連荷物の特徴である多品種、少量、小口化が進むことで荷役費や輸送費が上昇し、小売物流の市場規模を押し上げた、との見方を示した。
22年度については「比較的成長率の勢いはやや落ち着くも」としながらも、EC化率の伸長、燃料費や人件費の増加による輸送費の上昇——など、主要な拡大要因は21年度と変わらないとの見方で、「今後もこうした傾向が継続するものとみており、小売物流市場は拡大基調にある」と強調。
一方、担い手である宅配事業者にとっては人手不足が深刻化するなか「増加基調にある荷物にも対応できる効率的な仕組みや体制づくりが必要」だとして宅配事業者側に備えを呼び掛けるとともに、荷主(小売事業者)に対しても「再配達の削減や物量平準化への取り組み、積載効率の改善、消費者への協力の呼び掛け」など、具体的な項目を挙げて物流事業者に協力すべき、と訴えた。
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