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環境トラ導入補助金の申請低調、日野自不正余波か

2022年11月22日 (火)

(イメージ)

行政・団体中小トラック運送業者を対象に燃費性能が高い低炭素型ディーゼルトラック導入を促進する、環境省の補助金事業への申請件数が伸び悩んでいる。新車でトラックを購入したユーザーらが要件を満たせば、最大75万円を受け取れるインセンティブ施策だが、受け付け開始から半年で申請額は想定予算額の40%程度にとどまる。申請の動きが低調な背景には、日野自動車のエンジン認証不正問題に絡んだ大型トラックなどの出荷停止の影響がある模様だ。

この補助金は「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」(低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業)と呼ばれるもので、脱炭素社会を目指すことを目的にしている。前身の事業は10年近く前に始まり、2022年度は要件を満たせば10万〜75万円の補助金が出され、車両総重量が大きいほど補助額が大きくなる仕組みだ。

事業を執行する一般財団法人環境優良車普及機構(LEVO)によると、中小トラック運送業者の中では、毎年新車を計画的に購入する企業が多く、その際に補助事業を利用されるケースがあるという。

しかし、ことし3月に日野自動車の不正問題が発覚すると、新車販売に必要な型式指定が取り消され、出荷停止の事態に発展。10月以降、小型トラック「デュトロ」や中型トラック「レンジャー」の生産を再開したものの、ユーザーに車両が届くまでには時間差が生じている可能性がある。さらに、大型トラック「プロフィア」に関しては型式指定を11月18日に再申請したばかりで、生産と販売の開始時期は未定。国内販売シェアトップだった同社製トラックを購入できず、申請できる状態にないユーザーが多数いるとみられる。

申請台数は21年度が7424台、26億9900万円と想定予算額の9割以上が使われたが、22年度は11月21日現在、3426台の11億2585万円と前年度実績の6割程度の水準となっている。こうした申請状況を踏まえ、LEVOは1事業所当たりの申請台数を2台に制限していたが、環境省などに相談した上で、4台、10台と段階的に上限を緩和。「緩和した効果で申請件数は少しずつ上向きつつある」(LEVO担当者)としながらも、申請終了まで残り2か月余りに迫ったことから、12月5日受付分からは1事業者当たりの申請台数の撤廃という異例の対応に乗り出す。

今回の上限撤廃により、すでに同補助金に申請済みの事業者らも追加申請が可能になる。予算額の残額が20%程度に達した場合、当該日付以降は申し込み順による審査は行わず、23年1月31日までに申し込まれいたすべての申請を審査する。公平性を担保するため、予算残額を超える申請があった場合、初めて申請する事業者を優先するなど柔軟に対応していく。

エネルギー価格の上昇などもあり、中小企業にとって特に数十万円単位の補助金の効果は大きい。LEVOは、業界団体を通じても補助金を周知するとともに、必要に応じて期間中の申請を呼び掛けている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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