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コンセプトは「都心における拠点化ニーズの実現」

大都市の物流最適化を支援「プロロジスアーバン」

2023年1月5日 (木)

話題ビジネスや娯楽、家族や友人との憩い--。多種多様な生活シーンが繰り広げられる大都市を支えるのは、そこに出入りする様々なモノの流れ、つまり物流だ。新型コロナウイルス感染拡大による宅配需要も契機としたEC(電子商取引)サービスの急速な普及は、配送機能のさらなる高度化を求めている。

(イメージ)

こうした大都市における効率的な配送サービスを実現する物流施設の展開に注力するのが、米プロロジスだ。東京やロンドン、ニューヨーク、パリなど、国内外の人口集積都市での効率的な配送サービスを支援する物流施設ブランド「プロロジスアーバン」を展開している。

とりわけ大都市への人口集中や各種機能の集積が著しい国内では、こうしたエリアでの配送に携わる事業者の問題解決を物流施設の観点から支援。海外のプロロジスアーバンとは一線を画した独自の発想を採り入れることで、大都市での物流をベースとした様々なビジネスニーズに対応する多機能拠点としての展開を加速している。

国内におけるプロロジスアーバン展開、「宅配クライシス」への対応が契機に

プロロジスが国内におけるプロロジスアーバンの展開について検討を始めたのは2017年。いわゆる「宅配クライシス」が大都市を中心にクローズアップされたころだ。

「EC市場の拡大をきっかけに、配送ドライバーの不足や厳しい就労環境といった構造的課題が顕在化してきました。『荷物があっても配れない』事態に対応するための取り組みとしてスタートしたのです」。プロロジスの栗原祥之・バイスプレジデント兼開発部長は、配送現場におけるこうした問題の解決策の構築こそが、国内におけるプロロジスアーバンの原点だったと振り返る。

▲プロロジスバイスプレジデント兼開発部長の栗原祥之氏

郊外型物流施設ブランド「プロロジスパーク」を展開するなど、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)に代表される現在の東京近郊における大型物流拠点網の礎を築いたプロロジス。プロロジスアーバンシリーズでは、大都市における個人や小売店舗への多頻度・短時間配送を担う「ラストワンマイル配送」や、医療・精密機器など緊急性の高い保守パーツを扱う「緊急配送」、さらにはECビジネスにおける一連の物流業務を遂行する「ECフルフィルメント」の拠点として、大都市ならではの問題解決型施設として展開している。

実証実験と位置付けた「プロロジスアーバン東京品川1」、副産物として活用ニーズの探索にも成功

それでは、プロロジスが具体的にプロロジスアーバンの拠点展開で注力する機能とは何なのか。ここで着目したのが、ラストワンマイルや緊急配送拠点を設けたくても実現できなかった大都市ならではの問題認識だった。

「プロロジスパークのような大型物流施設の展開は、大都市では困難です。とはいえ、こうしたエリアだからこそ拠点の設置が必要と考える事業者がいるわけです。それを実現すること、それこそがプロロジスアーバンのコンセプトなのです」(栗原氏)

既存の倉庫を改修して20年6月に完成したプロロジスアーバンの国内第1号「プロロジスアーバン東京品川1」(東京都品川区)は、まさにこうしたコンセプトの実証実験の意味合いを持つ施設だ。高稼働率を確保しながらラストワンマイルの機能を発揮できるか。さらに老朽化した物流施設のリプレースによる復活事例の構築もテーマだった。

「結果として、全ての課題をクリアできたと考えています。さらに成果と言えるのが、新たなニーズの抽出に成功したことです」(栗原氏)。スタジオや研究開発、さらにスタートアップ企業をはじめとするクリエイティブな要素の強い仕様のオフィスなど、当初は予想していなかった利用方法に関する問い合わせを受けたことが、「物流施設を多機能ビジネス拠点として展開するヒントになった」(栗原氏)という。

▲20年6月に完成した「プロロジスアーバン東京品川1」。国内におけるプロロジスアーバンの先駆けだ(出所:プロロジス)

都心部への進出を果たした「プロロジスアーバン東京押上1」

プロロジスアーバン東京品川1の成功を原動力に、東京都足立区の2拠点開発を経て、既存の配送センターのリノベーション施設として22年9月に完成したのが「プロロジスアーバン東京押上1」(東京都墨田区)だ。これまでの3物件と異なり、東京駅から5キロとさらに都心寄りの物件を提案できる点で、国内におけるプロロジスアーバンの新展開を象徴する物件となった。

「3階までの各階がスロープで結ばれている自走式の物流施設です。都心部では極めて少ない好条件と言えるでしょう。さらに5階には、5区画のオフィスや屋上庭園も備えています」(栗原氏)。都心部とは思えない使い勝手のよい倉庫とともに眺望の利くオフィスも提案できる、まさにプロロジスアーバンのコンセプトを色濃く具現化した仕様は、業界でも話題を呼んでいる。

▲既存の配送センターのリノベーションで22年9月に完成した「プロロジスアーバン東京押上1」(出所:プロロジス)

プロロジスは現在、東京都の大田区と江東区の湾岸エリアでプロロジスアーバンシリーズの新規施設を施工中だ。都心部における物流の最適化に焦点を当てた、新たな発想の物流施設シリーズ。常に業界の先駆者として新境地を開拓してきたプロロジスが、今度は大都市を舞台に新たな「風」を巻き起こし続けそうだ。

「プロロジスアーバン東京品川1」施設詳細
「プロロジスアーバン東京押上1」施設詳細
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