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WMSの新時代「連携」語る、国内トップ2社が対談

2023年2月24日 (金)

話題日本のクラウド型WMS(倉庫管理システム)業界をけん引し、国内開発上位2社に位置付けられるシーネット(千葉市美浜区)とロジザード(東京都中央区)両社の経営トップによる生対談イベントが24日、オンラインで開催された。「物流デジタル変革の行方」をテーマに、シーネットの小野崎伸彦社長兼CEO(最高経営責任者)とロジザードの金澤茂則社長が出演。庫内におけるWES(倉庫管理運用システム)をはじめ、他のシステムとの連携や「つながり」が、今後の物流効率化のポイントになるとの考えで一致した。

小野崎氏は、今後のWMSのあり方について「これだけロボットの種類が増え、マテハン機器やハンディーなどもたくさんある。AI(人工知能)も入ってくる。WMSですべてやるのは無理がある」と指摘。その上で、リアルタイムのデータ管理に関して「WESに任せるべき」と持論を展開し、さらにTMS(輸配送管理システム)などさまざまなシステム間連携の実現が、顧客満足度を向上させるカギを握るとした。

金澤氏も、これまでは個別最適の観点でビジネスが完結できたが、足元ではシームレスなデータ連携に対するニーズが高まっている現状について説明した。さらに「WMSだけが(物流を)大きく効率化するのではなく、配送も含めて全体を最適化することが重要」との見方を示し、サプライチェーンを俯瞰したなかで自社の果たすべき役割を見出す姿勢を強調した。

このほか、両社は競合関係でありながら、サービスを販売する業界や企業規模に違いがあることからマーケットで棲み分けができているとの認識を共有。さらに、自社のサービス品質への強みやこだわりについては、金澤氏が「物流ITサービスに仕立てて、お客さんの物流環境をより良いものにしていこうという考え方」と述べると、小野崎氏は「ユーザーの使いやすさも大切だが、いかにトラブルが起きないかも常に意識して開発している」と説明。両社ともに顧客の物流課題の解消に向けた視点を大切にサービスづくりに取り組んでいると明らかにした。

イベントはLOGISTICS TODAYが主催し、赤澤裕介編集長が司会進行した。

WMS開発2社のトップ対談、同じ着地点を見い出した「盟友」が物流を変える

WMS開発で肩を並べるシーネットとロジザード。両社のトップが顔をそろえた今回の対談は、それぞれ「一元的なコントロール」「全体最適」という着地点を見い出して終了した。

WMSという共通の領域に身を置きながらも、それぞれ独自の強みを磨いてきた2社が到達したのは、「オープンな環境下でデータをシームレスな形で連携させることが、物流現場における業務最適化を実現する道である」という結論だった。

ロジザードの金澤茂則社長は対談のなかで、シーネットの小野崎伸彦社長について「盟友」であると明かした。WMS開発企業とひとまとめに表現したところで、両社の歴史や戦略をつぶさに見てみれば、まったく異なる市場を展開していることに気付く。シーネットは卸、ロジザードはEC(電子商取引)にそれぞれ特に強みを持っている。導入企業のビジネス規模も見事に棲み分けができている――。そんな具合だ。

▲「こうした2人での対談は初めて」と語る小野崎氏(左)と金澤氏

それにもかかわらず着地点が同じなのはなぜか。それは、ともにWMS開発という手段を通して全く同じ将来像を見据えているからに他ならない。そう、「お客様への貢献度を上げる」(小野崎氏)という到達点だ。

オンプレからクラウドへ。インターネットの普及に対応してWMSを取り巻く事業環境が変化するなかで、両社は物流倉庫をシステムで管理する技術の実効性を訴求していった。その功績が物流業界にDX(デジタルトランスフォーメーション)という概念を根付かせる要因の一つになったのは、もはや間違いないだろう。

さらなる少子高齢化、「物流の2024年問題」に象徴されるドライバー不足への対応――。物流業界に山積する構造的な問題を解決に導くために必要な発想とは何か。そのヒントとなるのが、この日の対談の着地点となった冒頭のキーワードだ。両社トップがそれを図らずも一致させたところに、その「盟友」ぶりがうかがえる。(編集部・清水直樹)

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