ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

荷主企業は物流拠点の「効率性」重視、CBRE調査

2023年6月16日 (金)

(イメージ)

調査・データ事業用不動産大手のシービーアールイー(CBRE、東京都千代田区)は15日、「物流施設利用に関するテナント調査」をまとめた。それによると、物流企業、荷主企業ともに拠点の拡大、再編のニーズは依然として高く、物流企業が「規模の拡大」を重視する一方、荷主企業は施設の統廃合などよる「効率性の向上」を重視していることがわかった。また、双方とも省人化、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による拠点運営の効率化の意識が高いこともわかった。

今後3年間の物流拠点計画を聞いた問いでは、倉庫面積を「拡大する」と答えたのは全体の57%で昨年(59%)とほぼ同等だったが、拠点数を「拡大する」とした回答は37%で昨年(47%)から10%減少した。内訳を見ると、物流企業で同質問に「拡大する」とした割合が46%だったのに対し、荷主企業では16%にとどまった。荷主企業で拠点数を「減少する」と答えたのも11%と少ないことから、荷主企業は拠点数の拡大ではなく、面積の広い倉庫に移転、あるいは統合することで効率化を図ろうとする傾向があるとしている。

理由としては、地政学リスクやパンデミックなどサプライチェーン(SC)の分断を受け、荷主企業のSC改革が本格化したことを挙げている。荷主企業に在庫・物流戦略の変化を聞いた問いでは、「配送網の強化」が35%と最多で、「部品・原材料の仕入先の見直し」(28%)、「部品・原材料の在庫の積み増し」(23%)など、調達物流の再編を挙げた回答も多かった。「物流のアウトソーシングの強化」を選択した割合も26%と高く、別の設問では荷主企業の42%が、3PLへのアウトソーシングが「今より増える」と回答している。

(イメージ)

物流企業と荷主企業では、拠点計画の課題意識に違いも出た。倉庫面積や拠点数の拡大について理由(複数回答可)を聞いたところ、「事業の拡大」と答えた物流企業が70%いたのに対し、荷主企業は45%にとどまっている。荷主企業では相対的に、「拠点の効率的な配置」(38%)、「保管量・在庫の積み増し」(37%)といった、保管量や倉庫立地に関わる回答割合が高かった。また、「建物・設備の老朽化、使いにくさ」も物流企業が21%、荷主企業が19%と高い割合を示した。

拠点計画の手段を聞いた問い(複数選択可)では「マルチテナント型の賃借」が最も多く、物流企業は63%、荷主企業は43%が回答した。一社専用となる「BTS型の賃借」は物流企業が19%、荷主企業が15%となり、それぞれ昨年の34%、21%から低下した。荷主企業の22%が「3PLに委託」と回答しており、前述の拠点計画の課題意識の問いで、物流企業の事業拡大意欲を高める要因となっていると分析した。

希望する立地(複数選択可)は、「物流集積地」の回答が61%と最多で、物流企業に限れば67%が選択した。次いで「都市圏内の郊外」が多く、特に荷主企業は49%と、「物流集積地」(48%)と拮抗した結果となった。郊外を選択したうち半数は製造業と卸売業が占めており、これは郊外の低い賃料と、広域でのSC網を考慮したものと分析している。都道府県単位では、首都圏、近畿圏で依然として需要の高さが際立っているが、熊本県で半導体大手のTSMC(台湾)工場建設に伴う動きで、九州圏はいずれの県でも昨年比で希望割合が高まった。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com