ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

物流戦略に2024年問題の影響色濃く、CBRE調査

2024年6月24日 (月)

拠点・施設事業用不動産大手のCBRE(シービーアールイー)は21日、ことし2、3月に実施した「物流施設利用に関するテナント調査」の結果を公表した。それによると、物流企業、荷主企業ともに物流施設の面積や拠点数の拡大に向けた意欲が強く、物流企業は、加えて雇用環境の改善を重視。荷主企業は拠点や配送ネットワークの再編に重点を置く姿勢がみられた。同社は物流業界の2024年問題が影響していると見ている。

今回の調査は2月27日から3月12日まで、インターネットを通じて実施。物流企業131社、荷主企業71社から回答があった。

▲今後3年間の物流拠点計画(クリックで拡大、出所:CBRE「物流施設利用に関するテナント調査 2024」、2024年3月)

今後3年間の計画を聞いたところ、倉庫面積を「拡大する」と答えたのは全体の51%で昨年の58%より7ポイント低くなった。拠点数を「拡大する」としたのは35%で昨年(38%)から3ポイント減少した。昨年より「検討中」の割合が増えており、戦略を決めきれない企業が多いとの印象も受ける。

今後3年間で優先・重視する課題を3つ尋ねたところ、物流企業で最も多かったのは「新規の物流拠点開設、面積の増強」で6割近くを占めた。次いで「従業員の就労環境の整備」が5割、「雇用の確保拠点の統廃合、再配置」が4割だった。一方、荷主企業は「拠点の統廃合、再配置」が5割と最も多く、「新規の物流拠点開設、面積の増強」が4割半ば、「輸送・配送ネットワークの再編、増強」が4割だった。同社は、物流企業は事業規模の拡大と雇用環境の改善を重視し、荷主企業は物流拠点や配送ネットワークの再編に本腰を入れる姿勢がうかがえると分析している。

物流拠点をどのように確保するのかの問いでは、複数回答で「マルチテナント型の賃借」が最も多く、5割半ばで昨年よりやや増加した。次いで、「土地の購入」「自社施設の建て替え・増設」が続いたが、昨年より減少した。一方で「3PLに委託」や「セール・アンド・リースバック」が増加した。希望する立地については、複数回答で「物流集積地」の回答が最も多く、次いで「都市圏内の郊外」、「地方都市、中継地点」と続いた。

24年問題の対応については、物流企業、荷主企業のいずれも、「十分でない」「これから実施」「これから検討」の合計が78%を占め、各企業とも対応に苦慮していることが分かる。対策としては物流業界で「積載率を上げる」「ドライバーの増員」「他社との共同配送」「中間・中継拠点の新設・増設」が上位を占め、荷主企業は「積載率を上げる」「他社との共同配送」「中間・中継拠点の新設・増設」が上位で、「検討中」という企業も多かった。物流企業でドライバーの増員を挙げる企業が目立ち、同社は「M&Aなどが視野に入っているのではないか」と推測している。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com