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物流法改正案閣議決定、荷待ち削減計画義務化など

2024年2月13日 (火)

行政・団体政府は13日、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。改正した「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」の名称は、「物資の流通の効率化に関する法律」に変更する。

政府は、4月1日に改正改善基準告示が施行されるのに伴い、物流インフラの維持が課題となる2024年問題における物流危機への対応を荷主・物流事業者と運送事業者に広く呼び掛け、物流効率化と適正な物流構造へ向けた改革に向けた取り組みを促してきた。今回の改正法案では罰則を含む規制的措置の導入が示され、これまでの「取り組みを推奨」するといった段階から、より具体的な取り組みを求めた改正となり、23年6月に政策パッケージ策定にともなって公表された、荷主・物流事業者向けのガイドラインの一部を法制化するものとなっている。

(出所:国土交通省)

まず、荷主(発荷主・着荷主)・物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に対しては、改正した「物資の流通の効率化に関する法律」に基づいて、荷待ち時間の削減や積載率の向上など、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課すことが明示され、国が定めた判断基準に応じて「指導・助言」、「調査・公表」が行われ、さらに取り組み状況によって「勧告・命令」が実施される。

特に一定規模以上の荷主を「特定荷主」と定めて、荷待ち時間削減や積載率向上に向けた中期計画の作成や定期報告が義務付けられ、さらにそれらの業務を統括管理する物流統括管理者の選任を義務付けを課し、是正命令に違反する場合には最大100万円の罰金が科される。

また、トラック事業者の取り引きにおいては、「貨物自動車運送事業法」を改定し、運送契約の締結などに際しては、提供する役務の内容やその対価(付帯業務料、燃料サーチャージなど)などについて記載した書面による交付を義務付け、運送契約の適正化によるトラック運転手の労働環境改善を目指す。契約内容の書面化と適正な価格交渉を促し、一般貨物自動車運送業の健全な運営「健全化措置」と、トラック運転手の利益を確保するための対策を講じることが求められる。また、一定規模以上の貨物運送事業者を「特別一般貨物自動車運送事業者」に指定し、他の事業者に下請けに出すことで運送利用する際の適正な健全化措置に関して規定を定め、国土交通大臣へ届け出ることが求められるとともに、その実施や管理を経営の見地から統括する運送運用管理者の選任が求められる。

(イメージ)

また、運送事業者には多重下請け構造の変革へ向けて実運送体制管理簿の作成が義務付けられ、多重構造で全容が把握しづらい多重下請け構造について、実運送者の名称や業務内容をわかるようにすることが必要となる。

さらに、今回の改正では、軽トラック運送業において死亡・重傷事故件数がこの6年間で倍増していると指摘し、軽トラック事業者に対しての規制的措置として、必要な法令などの知識を得るための管理者を選任することと、講習受講を義務化した。また国交大臣への事故報告を義務付けし、同省ホームページにおける公表対象にそれらの事故報告や安全確保命令を追加する措置が取られる。

政府としては、物流業界の構造的な課題とされてきたトラック運転手の労働環境の改善、多重下請け構造の是正に向けて規制的措置導入によって取り組みを加速させる意向だ。また、EC(電子商取引)の普及などにより今後のさらなる事故増加が懸念される、軽貨物運送での安全対策の強化を求める。

また、物流の持続的成長を目標としたKPIを設定、施行後3年で荷待ち・荷役時間についてはドライバー一人当たり年間125時間を削減(19年度比)、積載率向上によって輸送能力を16%増加(同)すると設定し、具体的な目標に向けての取り組みを推進する。

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LOGISTICS TODAY編集部
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