調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は8日、企業の「後継者不在率」は62.15%で、前年の61.09%から1.06ポイント上昇したとするリポートを公表した。代表者の年齢が40代以上の企業で不在率が上昇しており、同社は「円滑な事業承継を1、2年で成し遂げることは難しく、高齢代表者へのフォローの重要性が増している」と指摘している。
同社の企業データベースから、2022年以降の後継者に関する情報が蓄積されている17万135社を抽出して分析した。
同社によると、後継者不在率は、調査を開始した2019年が55.61%、2020年が57.53%、2021年が58.62%、2022年が59.90%、2023年が61.09%と右肩上がりで上昇している。代表者の年齢が60代の企業の不在率は今年、47.88%、70代で31.64%、80歳以上で23.96%となった。
不在率を産業別でみると、10産業すべてで55.0%を上回った。最も高いのは情報通信業の77.32%(前年77.33%)で、代表者が比較的若いソフトウェア開発会社などが含まれることが要因だとみられる。運輸業は56.35%だった。
また、後継者のいる企業では、息子や娘などの「同族継承」が4万1635社と64.66%を占めた。次いで多いのが「外部招聘」で1万1997社(18.63%)、「内部昇進」は1万466社(同16.25%)だった。
代表者の年齢別では、不在率の最高は30歳未満の96.58%(前年96.32%)で、50代までは後継者「不在」が「有り」を上回る。前年と比較すると、40代以上はいずれも不在率が上昇した。
都道府県別では、不在率の最高は神奈川県の75.60%(前年74.78%)で、次いで東京都の72.54%(同71.96%)と、2都県が70%を超えた。企業が多く設立される大都市ほど後継者の不在率が高く、最低は長崎県の32.54%(同31.36%)だった。
親族や社内に後継者がいない企業に対し、最近は官民による事業承継やM&Aプラットフォーム構築の取り組みが進んでいる。しかし、同社は「第三者承継やM&Aはブーム的な側面もあり、透明性や手続きの妥当性が問題視されるケースも散見される」と指摘。「事業承継の取り組みには、後継者不在と真剣に向き合う姿勢が求められる」と慎重な検討を求めている。
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