話題情報通信総合研究所は22日、情報通信(ICT)産業が日本経済に与える影響をまとめた7-9月期の「インフォコムICT経済報告」を公表した。12月初旬に詳細データを公表する。
7-9月期のICT生産は前年同期比17.4%増となり、4四半期連続でプラス成長。水準も85年以降のトレンド線の水準を超えるまで回復した。液晶テレビなどのデジタル家電やスマートフォン(多機能携帯電話)に対する旺盛な需要が半導体やフラットパネル製造装置などの生産を助長したのが主因で、需要サイドが生産活動を牽引した。
ICT設備投資は、ICT関連サービス、中でもクラウドサービスやソーシャルゲームの活発化によるデータセンタやサーバの構築など、企業が新興サービスの興隆を見越し、ICT関連の設備投資を拡大していることも市況にとって明るい材料。ただ、7-9月期のICT在庫が前年同期比48.9%増と大幅に増加していること、外需も伸び悩み傾向にあることが懸念される。
在庫循環をみると、今期は7四半期ぶりに積みあがり局面に入った。今後、家電エコポイント効果による駆け込み需要が一服し企業の強気姿勢が崩れ、積みあがった在庫が「意図せざる在庫」となれば、ICT生産も大きく減速する可能性は否定できない。また、ICT輸出も3四半期連続で伸びたものの、その増加率は低下しており、外需にも陰りが見え始めている。
同研究所では「家電エコポイントなどの政策効果の剥落が懸念される中、スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型端末の普及や利用用途の広がりといった需要サイドの新たな動きが、国内のICT生産活動に刺激を与えられるか否かが、今後のICT市況の先行きを占う試金石となりそう」と分析している。