
▲FOODEXのZEROCOの展示ブース

▲ZEROCOが搭載された冷蔵コンテナで3か月から1年保存された生鮮品
フード冷凍冷蔵ソリューション開発のZEROCO(ゼロコ、東京都渋谷区)は3月11日から東京ビッグサイト(江東区)で開催されている食品見本市の「FOODEX」(フーデックス)に出展した。
同社が出展した冷凍ソリューション「ZEROCO」は室温ゼロ度、湿度100%の環境下で食品を保存するソリューションで、生鮮品の長期間の保存が可能。会場にはZEROCOを設置した低温コンテナが展示され、コンテナ内では昨年の秋に収穫されたリンゴやナシ、昨年3月に収穫されたニンジンが貯蔵されており、青果売り場の店頭に並んでいるのと変わらない鮮度を保っている様を見て取ることができた。

▲昨年の3月23日から瑞々しい状態のまま冷蔵保存されているにニンジン
農産物は天候によって出来不出来があり、昨年からのキャベツがそうであったように、一般家庭の食卓に上がりにくくなるほど高騰することもあれば、出荷しても利益が出ないために畑にすき込んで処理してしまうこともある。こうしたアップダウンがあることで利益が確保できず、ひいては後継者をも確保できない状況が生まれている。また、あらゆる産業がさらされている労働者不足を前に、自動化、効率化を図るための新規導入、機材の更新もままならないというケースも少なくない。
このような状況を、ZEROCO専務取締役事業推進本部長の宮谷将徳氏は、農業が陥っている「負のスパイラル」と表現する。「こうした状況が生まれていることの大きな原因の一つは、農水産物の生産者が価格決定に関われていないこと。ZEROCOは貯蔵の面で生産者を支援することでその状況を改善し、生産者を支援することができるソリューション」なのだという。

▲ZEROCO専務取締役事業推進本部長の宮谷将徳氏
2024年問題によるドライバー不足により、全国各地の産地から、消費地への出荷が難しくなってきているという物流課題がある。この課題解決のために、中継拠点の開発などが進んでいるが、冷凍冷蔵による流通も解決策の一つと考えられている。宮谷氏は、「豊作・豊漁の時は農水産物を冷凍冷蔵すれば、値崩れしない量を出荷することで利益が確保できる。また、冷害などで価格が高騰したときは、冷凍貯蔵して置いたものを出荷することでいたずらな高騰を抑え込むことができ、需給バランスと価格の平準化を実現することができる」とし、「そのような形で生産者が価格決定に関与することで、農林水産業が持続可能な産業となる」ことを協調した。また、ZEROCOの高品質な冷凍冷蔵技術を使えば、競争力のある高品質な製品の出荷が可能になる。
このソリューションは冷凍前の予冷にも使うことができ、ZEROCOで中心温度がゼロ度になるまで予冷すると、例えば飲食店などで提供された料理をそのまま冷凍食品にすることも可能だ。一般的に、冷凍食品は急速冷凍で凍らせることで作られるが、商品として成立させるためには添加物などを加えた特別なレシピで調理する必要があるが、ZEROCOであれば通常の調理のままで冷凍食品にすることができるため、特別なレシピ開発が不要になる。同社によれば、調理に必要な認可を受けていれば、「地方の名物料理そのままの味を冷凍して都市部に出荷したり、国内で調理した食品を海外に輸出することも容易になり、新たな販路を広げることができる」という。

▲冷凍食品用のレシピを用いずZEROCOで冷凍された巻き寿司
ZEROCOの大きな特徴の一つは、同ソリューションで予冷して冷凍した場合、一般的な手法よりも消費電力を8分の1に抑えることができる。また、同ソリューションはすでに運用されている冷凍冷蔵設備であれば、設備を入れ替えるだけで導入が可能。エネルギー効率が良く導入、リプレースも容易。さらに、高品質な冷凍冷蔵も可能と、高付加価値なZEROCO。冷凍冷蔵食品物流において、注目すべきソリューションと言える。同社の起業は2023年だが、すでに一部の物流業者が検討を始めているなど、具体的な導入への動きもあるという。
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