調査・データ国土交通省は4日、23年5月16日に宮城県栗原市で発生した大型トラックの衝突事故、22年12月4日に浜松市浜北区で発生した大型乗合バスの追突事故について事業用自動車事故調査報告書が議決されたことを受け、報告書を公表した。
宮城県栗原市で発生した大型トラックの衝突事故は、大型トラックが東北自動車道の第1車両通行帯を走行中、故障のため同通行帯に停車していた大型貸切バスと同バスの後方で故障対応していた運転者および乗客2人に衝突した。この事故により大型貸切バスの運転者および乗客2人が死亡し、大型トラックの運転者が重傷を負った。
原因として、トラックの運転者が前方車両を追い越すため、右後方を併走する乗用車に注意が集中し過ぎて前方不注視だったこと。長時間労働による疲労が注意力が低下していたこと。運転特性が右後方車両に注意が集中し過ぎの運転行動に影響したこと。警告灯点灯を放置、また緊急停車後の後続車に対する危険防止措置が不十分だったことを挙げた。バスは高速道路上で緊急停車したときの適切な対応に関する指導監督不十分だったことなどが挙げられた。再発防止策として、適切な労務管理の徹底・ 改善基準告示を厳守し、運転者の疲労を蓄積させない運行計画を作成すること、車両が故障したときや緊急停車したときの適切な対応に関する指導を徹底することとした。
浜松市浜北区で発生した大型乗合バスの追突事故は、福岡・東京間を2名乗務で運行する大型乗合バスが乗客17人を乗せて新東名高速道路の第3車線を走行中、同車両通行帯を左方にそれ、第2車両通行帯を走行していた大型トラックに追突。この事故により、大型乗合バスの運転者および乗客6人が軽傷を負ったほか、大型トラックの運転者が軽傷を負った。運行途中に腹痛を発症し計画にないパーキングエリアで21分間停車したため、事故発生時、道路工事により50キロに最高速度規制されていた道路を、遅れを取戻すため120キロで走行し、自車車両通行帯をそれて追突した。
原因として、自らの判断で運転を継続したこと。体調不良時の具体的な対応方法が明確に示されていなかったこと。運行の遅れを取り戻すためと思われる速度超過が常態化していたものの是正されていなかったことが挙げられた。再発防止策として、乗務員の健康状態の把握に努めること。突発的な遅れが生じた場合の適切な指示を行うこと。日々の運行記録を確認し、速度超過などの違反が繰り返されることのないよう指示すること。体調不良時に、運転者が躊躇することなく対応できるように日頃から運転者にマニュアルを理解させること。2人乗務の運行においては、先輩と後輩のような権威勾配が障害となることがないよう、職場のコミュニケーションスキルの向上に取り組むこととした。
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