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JAL、成田に航空上屋と物流施設一体拠点構想

2025年7月15日 (火)

拠点・施設日本航空(JAL)とヒューリックは15日、成田市下福田地区で航空上屋施設と物流施設を一体化した国内初の国際物流拠点「WING NRT」の開発・運営を共同で進めることに合意したと発表した。

成田空港を取り巻く環境では、千葉県、成田市、国土交通省、成田国際空港(NAA)が連携し、NAAのエアポートシティ構想実現や第3滑走路新設など、機能強化への取り組みを進めている。日本の港湾は中国や韓国に後れをとり、抜港の対象になるなど、世界の物流から取り残されつつある。航空貨物においても、首都圏空港の発着容量限界や施設の狭さ、施設整備の難しさから、構造的な課題が複数ある。こうした状況の打開のため、NAAは第3滑走路の新設、貨物施設の拡充、上屋の集約化を進め、国際貨物のハブ空港機能強化を掲げている。これらの計画を通じて、東アジアにおける最重要空港としての地位確立を目指すとしている。

▲多様な物流関連企業を誘致して雇用拡大を図り、地域の活性化に貢献する構え(出所:JAL)

WING NRTは成田空港の近接地に位置し、国内初の航空上屋と物流機能を一体運用する国際物流拠点となる。第3滑走路の供用開始によって増加する国際貨物需要に応え、空港外施設の特性を生かしながら国際競争力を大きく引き上げる構えだ。ヒューリックとJALは共同運営を通じて、成田空港の国際的プレゼンスを高め、東アジアの航空貨物ハブとしての地位確立を目指す。

開発地は千葉県成田市下福田地区。2027年に建築工事に着手し、29年の開業を予定している。建物面積は計42万平方メートル、そのうち上屋施設は15万平方メートルを占める。JALは上屋施設に最先端テクノロジーや医薬品専用の定温庫、高機能冷蔵・冷凍庫を備え、多様な物流ニーズに対応する。精密機器、リチウム電池、越境EC(電子商取引)、医薬品、農林水産品を取り扱い、成田空港と世界の物流拠点をシームレスにつなぐ輸出入基地にするという。また、経済安全保障分野においてもサプライチェーンの国内回帰に貢献する。

立地面では、東関東自動車道・成田インターチェンジ(IC)を起点に首都圏や北関東へアクセス至便なのが特徴。輸出入の拠点として最適な条件を備えている。28年度末が予定の北千葉道路の延伸により、アクセス改善も見込める。成田空港からWING NRTまでは10分で、保税状態のまま一括輸送が可能だ。

(クリックで拡大、出所:日本航空)

ヒューリックとJALはWING NRT開業後も、施設運営や進出企業の誘致に共同で取り組む計画だ。成田空港とWING NRT間の高頻度輸送サービスや、街区内での貨物輸送サービスも両社で設計する。また、WING NRTは千葉県で初めて地域未来投資促進法の重点促進区域として承認されたことから、参画企業には各種優遇措置も講じられる。多様な物流関連企業を誘致し、雇用拡大を通じて地域活性化に貢献していくという。

千葉県の熊谷俊人知事は、「千葉県では、日本最大の貿易港である成田空港における第三滑走路の新設をはじめとした拡張事業による空港周辺地域のポテンシャルの高まりを生かし、国際的な物流拠点などの形成に取り組んでいる。その取り組みが具体的な形となったこの開発計画により、成田空港の国際航空物流拠点機能の更なる強化に加えて、我が国の産業競争力強化および本県経済の活性化につながることを期待する」とコメントを寄せた。

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