調査・データ帝国データバンク(TDB)は、2024年度の上場企業の平均年間給与は671万1000円で、過去20年で最高となったとするレポートを公表した。産業別では海運業が1052万3000円で最高となり、前年度から最も伸び率が高かった産業は「陸運業」で、13.7%増の645万円だった。
24年度決算期(24年4月-25年3月期)を迎えた上場企業のうち、有価証券報告書に「平均年間給与・従業員平均年齢・勤続年数」の記載がある企業を対象に調査を行った。
平均年間給与は4年連続で前年度を上回り、23年度の651万4000円に比べ、19万7000円(3.0%)の増となった。平均給与額だけでなく、前年度からの増加額、伸び率も過去20年で最高だった。平均給与額が最も高い企業は、投資ファンドの「インテグラル」で2577万円だった。
産業別にみると、製造業は平均681万2000円で前年度から20万2000円(3.1%)の増。非製造業は平均665万1000円で同19万3000円(3.0%)の増となった。
最も平均年間給与が高かった「海運業」は全業界で唯一、1000万円を超えた。平均給与額が1400万円台の商船三井や日本郵船をはじめ、対象となる海運企業すべてで上場企業平均を上回った。前年度から最も伸び率が高かった「陸運業」は、03年度以降で初めて平均600万円を超えた。宅配便などの物流企業のほか、鉄道・バスなど旅客輸送を含む陸運業では、ドライバー不足の解消を目的に、大卒初任給や賃金表を大幅に引き上げる動きが目立ち、平均給与にも賃上げの動きが反映されたとみられる。
23年度からの増減を比較すると、前年度から増加した上場企業の割合は75.0%を占め、過去5年で最高となった。増加率でみると「(2.5%以上)5%未満」が最も多く、全上場企業の23.7%を占めたほか、「10%以上」となった企業も9.5%あった。
25年度も引き続き、物価高への対応や人材確保を目的に初任給など賃金表を大幅に引き上げる動きが目立つものの、輸出関連の製造業を中心に米国の関税政策の影響などで企業業績が悪化する恐れがある。こうした不安材料が賃上げムードを委縮させる可能性もあり、持続的な賃上げの動きが続くか、今年度の給与動向が注目される。
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