調査・データインテリア総合企業のサンゲツは23日、持続的な物流体制の強化という社会課題に対応するため、物流プロセスを大幅に効率化するユニットロードシステムの実効性を確認したと発表した。このシステムにより、トラックへの積み込み・積み下ろし作業時間を240分から30分、87.5%短縮する成果を実現した。
このシステムの中核は重量物・異形物である内装材に特化した回転式パレット「Vパレ」。同社はこれに関連する特許3件を取得している。同社ロジスティクス部門の社員が「搬送時と保管時における商品の積み方を変えられるパレット構造」というアイデアを考案。2つの底面にフォークリフトのフォーク挿入孔を備えた独自設計により、効率的かつ安全な物流システムを構築した。
導入の背景には深刻な物流課題があった。同社が主力商品として取り扱う壁紙は50メートルの巻き物状で、長辺90センチ、重量20キロという特殊な荷姿をしている。このため従来は、1本ずつ「バラ積み・バラ下ろし」を余儀なくされていた。さらに、輸送時には縦積み、入庫時には横積みにする必要があった。1運行あたり240分もの時間と人力による高負荷作業が発生していた。

▲フォークリフトでVパレを積み下ろしする様子
このユニットロードシステムはサプライチェーンマネジメントの一環として導入した。調達先からの輸送、庫内荷受け、搬送、格納までを一気通貫でカバーする。Vパレと回転フォークリフトを組み合わせ、ドライバーの負担を大幅に軽減。作業形態を「パレット積み・パレット下ろし」へと刷新した。現在、全国8か所のロジスティクスセンターのうち北関東LC(埼玉県久喜市)と中部LC(愛知県稲沢市)が導入し、今後は全国展開を目指している。
今回の取り組みは経済産業省主導の「物流効率化に向けた先進的な実証事業」の採択案件でもある。「物流の2024年問題」(自動車運転業務の時間外労働の上限規制適用)をはじめ、物流業界全体における労働環境の変化、人手不足の慢性化、輸送能力の低下といった深刻な社会課題への有効な対策として注目が集まる。
サンゲツは、「品切れなく広域に即時配送を可能とする在庫・配送・物流機能」を、「スペースクリエーション企業」への転換に向けた重要機能と位置づけ、持続可能な物流体制の維持と強化を進めている。
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