調査・データ矢野経済研究所は22日、二輪車の電動化率は世界的に見て鈍化が見られるものの、2030年には最大で15%にまで普及するとのレポートを公表した。中国では需要が頭打ちになるものの、インドやASEANでの成長が期待される。
レポートによると、24年の世界での二輪車新車販売台数は前年比4.2%増の5990万9000台で堅調に推移した。成長を主導したのはインドで、農村地域の需要拡大や政府支出の加速によって前年比11.5%増の1954万台を販売。世界最大市場の地位を確立している。インド以外にもパキスタン、ブラジルなども好調で、ASEANも輸出回復と内需の回復などによって多くの国が堅調な推移をみせている。
一方、24年の電動二輪(EM・EV)の世界新車販売台数は23年の615万1000台から510万6000台へと後退し、新車販売台数全体に占める電動比率は10.7%から8.5%に減少した。電動二輪の最大市場である中国の縮小で販売台数が大幅に減少したのが主因で、インドやインドネシアの伸長では相殺しきれなかった。
今後の電動二輪の普及において欠かせないものとして注目されているのが、「車電分離」型のバッテリー交換式モデルを軸とする事業だが、バッテリー交換ステーションは整備や運営に莫大なコストが必要で、運用の難しさも課題となっている。一方、宅配やシェアリングなど、稼働率が高く収益が見込める商業用途で電動二輪のニーズが活発化している。
また、四輪車で大きなトレンドとなっているSDV(ソフトウェア定義車両)が二輪車に与える影響も注目されている。SDVのような完全自動運転は二輪車では実現が難しく、搭載スペースやコストの制約も大きいが、ハード構成がシンプルで安価であることから、四輪車とは異なる方法での進化が期待され、動向から目が離せない。
市場の今後の展望については、30年まではインドをけん引役として、安定成長が見込まれるとした。35年までの長期展望では「インドを中心とした南アジア市場の成長がある程度の成熟期を迎える一方、経済成長を背景にアフリカなどの新市場の台頭が注目される」としている。
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