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世界マテハン市場、中国OEMがシェア拡大

2025年11月19日 (水)

調査・データドイツの経営コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーは19日、中国OEMの台頭で自動倉庫などの普及が加速化しているなどとするレポート「マテリアルハンドリング業界の未来」を公表した。詳細は同社のホームページからダウンロードできる。

レポートによると、フォークリフトやコンベヤー、無人搬送車(AGV)、自律走行搬送ロボット(AMR)を中心に、サービスやソフトウエアを含む世界のマテハン機器市場は、EC(電子商取引)市場の拡大に伴い順調な市場成長を遂げており、2024年には440億ドルの市場規模にまで拡大した。今後、年平均10.3%の成長率が見込まれ、30年には710億ドル規模に達すると見込まれる。

▲世界マテリアルハンドリング機器(MHE)市場予測(クリックで拡大、出所:ローランド・ベルガー)

内訳は24年で設備・機器などのハードウエアが310億ドルで7割を占める。機器の保守や設計、コンサルティングなどのサービス分野は100億ドル、管理システムなどソフトウエア分野は30億となっている。この割合は、今後もほぼ変わらず、30年にはハードウエアが490億ドル、サービスが180億ドル、ソフトウエアは50億ドルと見込まれる。

従来、マテハン市場は日本をはじめとする先進国が大きなシェアを占めていたが、近年、中国系OEMの台頭が著しい。特にフォークリフトでは、世界の全需要に占める中国輸出品の比率が年々増加しており、23年には20%を超えた。

特に、欧州ではミッドレンジフォークリフトでの中国OEMの存在感が増しており、ユーザーからも「決して安かろう悪かろうではなく、製品品質は十分で、サービス品質も十分」との声が多くなっている。

もともと自動倉庫関連の機器・システムは高額で、投資回収期間の長さがネックとなっていたが、中国の台頭などによるハードウエアの価格低下に加え、世界的な人件費高騰によって、値ごろ感も出ている。同社の調査でも、特定のケースでは、18年頃に6-9年要していた投資回収が、最近では3年程度に短縮されている。

また、同市場は主にフォークリフトを手がける「総合型」企業が優位に立っていたが、ハードだけでは勝負できない状況となってきており、今後はソフト・サービス分野での事業拡大がシェア確保のカギを握るとみられる。一方、強力なソフトウエアベンダーも、ハードウエアへの事業拡大を目指している。

このため、欧米企業を中心に、M&Aや提携がかなり進んでおり、ミッドレンジからのシェア拡大を図る中国OEMとの競争は激しさを増すとみられる。

そうしたなか、日系企業では欧米ほど再編の動きは見られず、同社は「日本市場には、中国OEMがほとんど入ってきておらず、ガラパゴス市場化していることも一因かもしれない」と指摘している。

日本市場について、同社は「ハード技術の優位性を持ちながら、それにこだわりしすぎて世界市場での存在感を失っていった悪しき歴史を繰り返さないためにも、これまでの顧客・機器ストックを最大限生かし、異業種のロボティックス領域などとの連携を深め、先端技術を結集した『日本連合』として、世界市場で勝負する必要があるのではないか」などとしている。

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