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フジトランスポート、ドライバー給与2年で10%超増

2025年12月19日 (金)

(出所:フジトランスポート)

ロジスティクス幹線輸送大手のフジトランスポート(奈良市、松岡弘晃社長)は、ドライバーの給与を過去2年間で平均10%以上引き上げたことを明らかにした。業界全体で人手不足が深刻化するなか、先行投資として賃上げに踏み切るとともに、積載効率を高めた独自車両を武器に運賃交渉を進め、採用面接の増加という成果につなげている。

同社が2023年11月、24年11月、25年11月の単月データを比較したところ、過去2年間の全体平均で10%超の賃金上昇を確認した。上位100人と下位100人を除いた中間層の平均でも同様の上昇率となり、特定の高給取りに偏らない全社的な底上げが実現できていることが裏付けられた。

松岡社長は「これがドライバー同士の噂となり、面接もかなり増えている。人材確保するためには必要不可欠な取り組みだ」と手応えを語る。

10メートルボディで荷主にもメリット提示

賃上げの原資確保に向け、同社は運賃交渉にも工夫を凝らしている。交渉の場に持ち込むのは、「10メートルボディ」と呼ばれる大型トラックだ。通常の車両より荷台が40センチ長く、T11型パレットを標準より2枚多い18パレット積載できる。

積載量の増加は荷主側にとっても輸送効率の向上につながるため、双方にメリットのある提案として運賃交渉がスムーズに進んでいるという。こうした取り組みの積み重ねが、ドライバーの賃金増額を可能にしている。

収益改善を待たず先行投資

注目すべきは、同社の賃上げが必ずしも収益改善を待ったものではない点だ。松岡社長は「運賃が上げてもらえなくても、採算が割れていても、先に給料を上げて従業員の確保を優先している」と明かす。短期的な収益よりも人材確保を優先する経営判断が、結果として採用競争力の向上につながっている。

24年4月からの時間外労働上限規制により、運送業界では輸送能力の確保が喫緊の課題となっている。ドライバー不足を背景に各社が人材獲得競争を繰り広げるなか、同社の取り組みは、車両への投資による荷主との交渉力強化と、先行的な待遇改善という両輪で人材確保に挑む事例として注目される。

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