調査・データ全日本トラック協会がまとめた2024年度決算版の経営分析報告書によると、トラック運送業界は増収基調を維持しつつも、コスト上昇を十分に吸収できず、収益性の改善は限定的にとどまった。特に中小事業者では価格転嫁の遅れが顕著で、業界内の格差が一段と広がっている。
分析対象となった2631者の平均売上高は2億8521万5000円と前年比8.0%増加し、売上は回復傾向を示した。一方、営業損益率は1.0%、経常損益率は2.5%と、それぞれ0.4ポイント、0.3ポイントの改善にとどまり、利益水準は依然として低い。営業黒字企業は52%、経常黒字は63%と過半を占めるものの、収益構造の脆弱さが残る。
コスト面では、燃料価格の高止まりや物価上昇、人件費の増加、車両調達価格の上昇が重なり、運送原価を押し上げた。軽油価格は平均166.7円と前年比9.2%上昇しており、燃料負担は依然として経営を圧迫している。補助金などの影響で燃料費率は13.5%とやや低下したが、総コストの上昇圧力を打ち消すには至っていない。
こうした環境下で運賃の価格転嫁は「緩やかに」進展したものの、コスト増に追いついていない。景況感調査でも運賃水準は改善傾向を示す一方、輸送数量や営業収入は途中で悪化に転じており、需給環境の不安定さが浮き彫りとなった。
特に課題が集中しているのが小規模事業者だ。車両10台以下では営業損益率が−2.3%と依然赤字圏にあり、営業赤字企業が62%、経常赤字も53%に達する。価格交渉力の弱さや固定費負担の重さから、原価上昇分を運賃に反映できていない実態が鮮明となった。一方で、車両規模が大きい事業者ほど利益率は改善しており、規模による収益格差が拡大している。
輸送量は1者平均8万1900トンと微増にとどまり、需要面での力強さは欠く。売上の回復は単価上昇による側面が強く、数量成長に支えられたものではない状況が続いている。
資金面ではキャッシュフローは1者平均1941万3000円と前年比8.5%増加した一方、有利子負債は1億552万5000円に増加し、売上高比36.8%と高水準にある。投資や運転資金の確保を背景に、財務負担もじわりと増している。
全体として業界は回復軌道に入りつつあるが、利益面では依然として力強さを欠く。とりわけ中小事業者の経営は厳しく、価格転嫁の徹底とDX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上が急務となっている。
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