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住友商事、内航コンテナ船活用、モーダルシフトで新事業

2011年2月8日 (火)

ロジスティクス井本商運が運航する内航コンテナ船「まや」住友商事は8日、住商グローバル・ロジスティクス、内航コンテナ船オペレーター最大手の井本商運(神戸市)と提携し、環境負荷を低減する内航コンテナ船を活用したモーダルシフト輸送事業を推進することに合意したと発表した。3社は同事業のサービス名称を「海コン便」と定め、荷主企業や物流企業に広く利用を呼び掛ける。

 

井本商運は1970年代から内航コンテナ船事業に特化し、内航フィーダー輸送(国際貿易コンテナの国内二次輸送)の取り扱いシェアは過半数に達している。これまでのフィーダー貨物に加え、新たにモーダルシフト貨物を積み合わせることで、運航船の大型化・便数増などを実現し、相乗効果により競争力を強化する。

 

また、住商グローバルロジスティクスは国内外の顧客に物流サービスを提供する総合物流企業で、輸送品質の向上と温室効果ガス排出を抑える物流モードの構築を目指す。

 

同事業では井本商運が保有する内航フィーダー航路網(寄港地45港)に、住商グローバルロジスティクスが中心となって開発した新型海上コンテナを組み合わせ、モーダルシフトの受け皿となる新輸送モードを構築する。

 

国内での長距離トラック輸送(500キロメートル以上)の貨物量は年間1.5億トン、市場規模は1.4兆円に達し、3社はこのうち10%程度が2020年でのモーダルシフトの潜在需要と見込んでいる。

 

一方で内航海運へのモーダルシフトが加速しない一因を、積載効率・荷役効率の悪化に伴うコスト競争力低下にあると捉え、効率改善に資する新型コンテナを開発。運用上の安全性・作業性を検証するため、本船荷役と車両走行による実証実験を実施する。

 

自動車・航空などを含む運輸部門のCO2排出量は、08年度で日本全体の19%を占めており、住友商事では「政府が定めた温室効果ガス排出量の削減目標値達成には、運輸部門の排出量削減が必要不可欠」としている。

 

昨年、政府が発表した「新成長戦略」では、運輸部門の主要環境対策が「エコカー普及」と「モーダルシフト」に絞り込まれた。環境省では、全物流でのトラックの輸送分担率を、現状の6割強から20年をめどに5-6割までに引き下げる目標を掲げるなど、モーダルシフトは温室効果ガス削減目標を達成する効果的な手段として期待されている。

 

また、昨年8月に政府が選定した「国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港)」では、地方コンテナ港湾との間の内航フィーダー航路網の拡充が大きな政策目標となっていることから、同事業による国内海運貨物の増加を通じ、国内地方港の活性化と、アジアのハブ港に対抗する「国際コンテナ戦略港湾」の競争力強化につなげたい考え。