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輸入家具販売会社が物流本格参入、需要拡大の受け皿に

沖縄・那覇へ物流集中、県内荷主「トラック足りない」

2017年11月1日 (水)

話題沖縄で物流需要が高まっている。アジア向けの輸出拠点として整備が進む沖縄県では、那覇港や那覇空港周辺を中心に輸出企業の集積が進み、地元の輸出企業は「貨物、トラック、コンテナ用のスペースが不足するほどの活況を呈している」と話す。県経済の振興につながる動きとして盛り上がる中、県内では別の物流課題が浮上してきた。

「那覇への一極集中」によって、県内中部などの他地域で輸送手段の不足が深刻化しているのだという。

那覇港から30キロほど離れた中城湾港。同県を代表する物流企業の琉球海運が県と共同で、8月から東京・大阪と中城湾港を週1便で結ぶ実験運航を開始した。後背地では産業団地の整備が進み、大手日用品卸が物流拠点を拡充するほか、琉球海運も来年10月の開設を目指して3温度帯物流施設を建設する。

製造業や卸、小売の進出が増え、物流需要が高まりを見せているわけだが、那覇港で陸揚げされた貨物を運び入れるというモノの流れが基本の本島中部では、活況を呈する那覇港周辺ですら保管や輸送手段が不足していることから、ほかへ回る車両が足りず、コンテナを運び込むセミトレーラーやトラックを確保することが困難になってきた。

同県うるま市など本島中部で輸入家具・雑貨販売店「イエローボックス・ファニチャーストア」を運営するC&Dも、こうした輸送手段の確保に悩んできた荷主の1社だ。

同社は20フィートコンテナ換算で年間300本のコンテナを輸入している。多いときは週10本以上、少ないシーズンでも週数本のコンテナを那覇港から中城湾港の後背地にある自社倉庫へ輸送する必要がある。

以前は外部の物流企業に輸送を委託していたが、物流需要の高まりを背景にコストが上昇し、最近、自社車両を導入して那覇港から自社倉庫までの輸送を内製化し、年2000万円近い輸送費の削減効果があったという。

「当社だけでなく、那覇からの輸送手段に悩む本島中部の荷主が増えてきた」ことを実感した同社は、自社貨物をベースとしてほかの荷主に物流機能を提供するため、本格的に物流へ参入することを決めた。

今年3月に通関業許可を取得したのを皮切りに、11月1日には貨物自動車運送事業をスタート、中部地域の荷主や中城湾エリアに県外から進出してくる企業などの物流需要を見込む。自社倉庫の移転・拡張も検討しているという。

「那覇港からの貨物輸送でかねてから不便を感じていた。一般貨物自動車運送事業を開始することで、同じく輸送に苦心する本島中部近郊の荷主の潜在的な需要に対応していきたい」(C&D)

まずは海コントレーラーからスタートし、需要に応じて車種を広げていく考えで、「トラックドライバーになりたいという夢を持った人材に自社貨物の輸送で経験を積んでもらい、運転技術を高めて一定のレベルに達してから、(外部の)荷主の貨物運送を引き受ける体制を構築する」としている。

■C&Dの概要
代表者:上地力氏(代表取締役社長)
所在地:沖縄県うるま市州崎13-12
主な事業:輸入家具販売、飲食業、通関業、一般貨物自動車運送事業

■問い合わせ先
TEL:098-921-2277(担当:上間政和氏、川満恵太氏)