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宅配からロット貨物まで対応、ASEAN他国への拡大や日本含む三国間も計画

ヤマト、シンガポール・マレーシア間で翌日配達開始

2014年3月26日 (水)

ロジスティクスヤマトホールディングスは26日、シンガポール・マレーシア間の定時トラック便と両国の宅急便ネットワークを組み合わせ、翌日配達を実現する「シンガポール・マレーシアクロスボーダー配送サービス」の提供を開始すると発表した。シンガポールヤマト運輸とマレーシアヤマト運輸が、両国間の国際通販、小口貨物の納品に携わる顧客を対象に、4月1日から開始する。

2015年のASEAN10か国と日本を含むFTA(自由貿易協定)パートナー諸国6か国による「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)の実現を見据え、この地域で事業基盤を強化する。新サービスは、小口多頻度調達・納品、国際通販などの物流ソリューションと、域内の幹線輸送を組み合わせ、「グローバルなデマンド・チェーン視点で、新たな市場の創出を目指す」取り組みの第1歩として提供する。

シンガポール・マレーシア間の輸送は、商圏のボーダレス化に伴い荷物の動きが活発化。マレーシアに拠点を持つ通販事業者・メーカーからは「シンガポールの消費者や小売店に対して、新たな販路を拡大したい」といった声が高まっており、海外からシンガポールを経由してマレーシアに輸入される部材、シンガポールからの高級商材を「マレーシア国内で品質を保持した状態で流通させたい」「シンガポールの土地・人件費の高騰に伴いコスト競争力を維持するため、マレーシアに拠点を移し、これまで同様のサービスレベルを保ちたい」などのニーズも顕在化している。

また、両国間の小口輸送や個人宅への宅配は、集荷から通関・配達まで一貫して行う業者が少なく、複数の業者によるオペレーションが一般的となっているため、顧客は「荷物がいつ届くかわからない」「中身が破損している」といった輸送品質に対する不便さを感じているという。

そこで、ヤマトグループでは、シンガポール・マレーシア間の定時トラック便と、両国で既に敷設している宅急便ネットワークを組み合わせたクロスボーダー配送サービスを開始し、事業者の販路拡大とエンドユーザーの利便性向上を図る。

新サービスでは、日曜祝祭日を除いた毎日、定時トラック便を運行し、両国の宅急便ネットワークと結びつけることで集荷・通関・配達をヤマトグループで一貫して行い、品質を保持した状態で翌日配達できるようにする。少量多頻度の小口単位の宅配便から、ロット単位の荷物まで幅広く対応する。

当初はシンガポール全域とマレーシア西部のクアラルンプール市・ジョホールバル市・ペナン市で展開し、毎週月曜から金曜まで受け付ける。着地国の配達業務は土・日曜も行う。

シンガポール発マレーシア向けでは、最終荷受締め切り時間を正午とすることで翌日午前の配達を可能とする。マレーシア発シンガポール向けの最終荷受締め切り時間は午後5とし、翌日午後の配達が可能。

同社では、マレーシアに在庫拠点を構えるシンガポールの通信販売業や、シンガポールに納品先をもつマレーシア製造業、シンガポール経由でマレーシア工場へ部材を調達する商社、製造業――などを想定。シンガポール国内で物流業務を行っている企業が、コスト競争力を強化するために、マレーシアに物流拠点を移した場合でも、リードタイム・配送品質を維持したまま、倉庫運用費用などの物流費や人件費を削減することが可能となる。

今後は、タイ・ベトナムなどほかのASEAN諸国へネットワークを拡大することを検討し、羽田クロノゲート、沖縄国際物流ハブとシンガポール空港の接続による、日本・シンガポール・マレーシア3国間の小口輸送ネットワーク構築も計画している。

■サービスの流れ(出所:ヤマトホールディングス)
ヤマト、シンガポール・マレーシア間で翌日配達開始