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外国人運転手採用、免許・言語・定着の現実解とは

2026年9月30日 (水)

イベントLOGISTICS TODAYは29日、物流業界で関心が高まっている外国人ドライバー採用をテーマにしたオンラインイベント「『外国人ドライバーなんてウチには無理』〜 その「拒否感」から始める、人材採用の現実解 〜」を開催した。

イベントの冒頭では、国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課専門官の上中理史氏がZoomで登壇し、特定技能制度の仕組みや現状について解説を行った。続いて、モデレーターを務めるLOGISTICS TODAY編集局副長の鶴岡昇平氏から、自動車運送業における特定技能評価試験の合格者が5842人にのぼる一方、実際の在留資格取得者は558人にとどまっている現状が提示され、議論がスタートした。

この乖離について、特定技能コンソーシアム理事でProud Partners(プラウドパートナーズ、東京都新宿区)取締役の岡村アルベルト氏は「各企業側が受け入れ体制を整えられていないのが数字に出ている」と指摘した。事業者アンケートでも日本語能力や運転技術への懸念が上位に挙がるが、実際の外国人ドライバーの早期離職率は「日本人と同程度」が約半数、「日本人より低い」が28%を占めており、多くの外国籍人材が長期就労を希望している実態も共有された。

特定技能ドライバー受け入れの大きな障壁として挙げられたのが、外国免許から日本免許への切り替え(外免切替)である。ジップラス Global人材戦略統括本部 部長の廣安広輝氏によると、昨年10月の審査厳格化以降、学科試験の合格率は42.8%、技能試験は13.1%にまで激減しているという。SBSホールディングス特別職でSBS自動車学校社長の大戸正昭氏も「千葉県では(技能の合格率が)およそ1%と言われている」と厳しい現状を共有した上で、「免許を取らせるまでが仕事ではなく、その後いかに企業として育成をしていくか、事故なく仕事をしてもらえるようにする社会的責任がある」と述べた。

▲ジップラスGlobal人材戦略統括本部部長の廣安広輝氏

この課題の解決策として、廣安氏はインドネシアで展開する事前教育施設「YUZURUドライビングスクール」の事例を紹介した。日本の指導員が現地の日本式教習コースで教育を行うことで、同校卒業生159人の外免切替合格率は学科95%、技能82%という極めて高い水準を実現している。廣安氏は「外国人の単純な紹介だけでなく、ドライバーを育てて戦力化するところまで企業様と共に伴走したい」と語気を強めた。

▲WEWORLD GLOBAL REACH CA/RA両面型アドバイザー​の東莉那氏

日本語能力の壁について、WEWORLD(ウィワールド)グローバルリーチ キャリア・リクルーティングアドバイザーの東莉那氏は、特定技能1号に求められる日本語能力試験(JLPT)は主に読む・聞く力を測るものだと説明し、「必ずしも『話す=話せる』ではないので、スコアだけで会話能力を判断するのは危険だ」と警鐘を鳴らした。また、大戸氏は、「単独で臨機応変な対応が求められるドライバーにはN3程度が必要だが、同僚のサポートが得やすい倉庫業務はN4程度でも対応可能」との見解を示した。

▲SBSホールディングス特別職シニアプロフェッショナル(部長)/SBS自動車学校 社長の大戸正昭氏

言語の壁を越える仕組みとして、Tebiki(テビキ)セールス エバンジェリストの小田島怜汰氏は動画マニュアルの活用を提案。小田島氏は「マニュアルにするほどでもない『暗黙の了解』を徹底的に明文化する」ことの重要性を指摘し、NG行動などを多言語対応の動画で視覚的に伝える手法を紹介した。

▲Tebikiセールス エバンジェリストの小田島怜汰氏

また、現場に即した教育について、岡村氏はウズベキスタンでの教育事業において現役ドライバーの音声を解析し、企業で実際に使う現場用語に特化した教材を作成する取り組みを紹介した。これに対し、セイノーホールディングス執行役員でセイノーラストワンマイル社長の河合秀治氏も「『テレコ』や『番線』など、絶対に日本語教育に入っていない言葉がある。それが現場で言われて分からないと、学ぶ意欲をなくしてしまう」と深く同意した。

定着率を高めるための採用手法として、岡村氏と河合氏は共に、日本語能力よりも人柄を重視するアプローチを挙げた。岡村氏は「日本語が話せてしまうと、どうしても日本語能力の粗探しになってしまう」と指摘し、通訳を介した面接で企業文化とのマッチングを図り、「内々定」を出してから日本語学習に取り組ませる仕組みが有効だと語った。

▲特定技能コンソーシアム理事/Proud Partners取締役の岡村アルベルト氏

さらに河合氏は、定着支援の取り組みとして「北海道グローバルコミュニティ」を紹介した。物流や介護、飲食など地域の異業種が連携し、生活面などのサポートをシェアする構想であり、河合氏は「一社一人二人でやる話ではなく、地域でみんなでまとめて引き受けようと議論している」と語った。また、外国人材の受け入れに際しては「一部の配慮はするが、外国籍と日本籍を区別せず同じ土俵に立たせることを基本方針にしている」と強調した。

議論の最後に、河合氏と岡村氏は、給与面での日本の相対的な優位性が薄れつつある現状を指摘した。河合氏は「日本の魅力を出していかない限り、みんな来てくれない。処遇面や受け入れ体制など、付加価値をつけていかないと選ばれない」と現状への危機感をあらわにした。

▲セイノーホールディングス執行役員/セイノーラストワンマイル社長の河合秀治氏

特定技能外国人ドライバーの受け入れは始まったばかりである。岡村氏が「外国籍の方々を雇用すればなんとかなると思っている事業者は多いが、受け入れ後の体制とセットで考えないといけない」と念を押したように、5年後も働き続けられる体制を業界全体で構築していくことが求められている。

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