EC越境EC(電子商取引)における物流費の透明性や多様な配送手段が、海外販売の成否を分ける最大の鍵となっている。各国の免税措置撤廃や輸入規制が厳格化するなか、関係企業は物流体制を根底から見直し、配送の迅速化やコスト削減を図る動きを加速し始めた。
日本越境EC協会(JACCA)とLOGISTICS TODAYが5日に共同主催した「越境EC EXPO 2026」で、国際物流の最前線に立つ担当者が議論を交わした。
日本郵便のビジネスソリューション推進部兼グローバルビジネスソリューション室室長の堤貴志氏は、世界の越境EC市場が2034年に現在の6.7倍に拡大するという予測を紹介し、日本の商品を世界へ発信する支援を強化する方針を示した。同社は、1日に1万個を超える荷物が代理購入事業者の倉庫を経由して海外へ発送されている現状を分析し、積み替えや区分作業に生じる無駄の排除に向けた物流網の変革を進めるとしている。

▲日本郵便のビジネスソリューション推進部兼グローバルビジネスソリューション室 堤貴志室長
ECMSジャパン(東京都中央区)のエクスプレス部部長の吉良浩司氏は、オンライン購入者の36%が配送料金を理由に購入を断念するというデータを提示し、送料の透明性や予測可能性が販売数を左右すると強調した。各国の少額免税撤廃により輸入関税の徴収が進む環境下でも、日本製品の潜在的な競争力は極めて高いと分析。高まるデータ連携の重要性を指摘し、物流業務を外部委託して商品開発やマーケティングに注力する戦略を推奨した。多様化する販売者のニーズに応えるため、コストを抑えた海上輸送の活用など、新たな配送サービスの構築を急ぐ構えだ。

▲ECMSジャパンのエクスプレス部 吉良浩司部長
登壇者はセッションを通じ、失敗しない物流設計のヒントを明かした。堤氏はテストマーケティングとして2、3か国の市場に絞り、韓国のように物流コストを低く維持できる近隣市場から展開する手法を勧めた。吉良氏は、航空輸送でリチウムイオンバッテリーなど危険品の取り扱いルールが年々複雑化している実態を指摘し、進出先の輸入規制を事前に徹底調査する重要性を訴えた。
「物流は杓子定規ではない」と語る堤氏の言葉通り、事業者が独自のアイデアを持ち込み、物流会社と一体となって柔軟な対応策を練り上げる姿勢が、今後の市場で勝ち残る必須条件だ。
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