EC越境EC(電子商取引)で利益を生み出すには、現地の顧客が抱く不安を取り除き、需要を深く理解する姿勢が欠かせない。日本越境EC協会(JACCA)とLOGISTICS TODAYは5日、都内で「越境EC EXPO 2026」を共同開催した。事前申込数が350人に上った会場は、終始熱気に包まれた。
セッション3では、販売戦略とマーケティング成功の秘訣について議論が交わされた。ZenGroup(ゼングループ)のスロヴェイ・ヴィヤチェスラヴ社長は、海外顧客の購入動機について解説。価格の安さよりも「自国で手に入らない希少性」を求めて日本から商品を買う傾向があり、アニメ関連の限定品などは関税で総額が増加しても需要は落ちないと指摘した。継続的に売上を伸ばす手段としては、透明な費用提示と丁寧な梱包を挙げ、「越境ECは信頼とファンを積み重ねる長距離競争だ」と力説した。

▲ZenGroupのスロヴェイ・ヴィヤチェスラヴ社長
続く話題では、インバウンド客が日本のサイトを訪れても買えずに去ってしまう機会損失の現状について、ジグザグの仲里一義CEOが説明した。まずは自社ECサイトの海外アクセスを分析し、国と言語を特定するよう促した。さらに靴の販売事例を挙げ、台湾とドイツで顧客の求めるサイズ展開が全く異なっていた事実に触れ、決済や言語といった機能面の充実だけでなく、顧客の背景を深く探る必要性を訴えた。

▲ジグザグの仲里一義CEO
また、企業の発信内容に対して警鐘を鳴らしたのは、世界へボカンの徳田祐希社長である。企業は製法を語りがちだが、顧客は自分の生活がどう変わるかを知りたがっていると指摘。白い背景に置いた商品写真よりも、人が着用した姿を見せる工夫が必要だと語った。自動翻訳を見直しただけで売上が30倍に伸びた事例を紹介した。質疑応答で仲里CEOから顧客へのインタビュー手法を問われると、徳田社長は「クローゼットの中身や普段履く靴のブランドまで詳細に聞き出して競合を分析する」と明かした。

▲世界へボカンの徳田祐希社長
クロージングにはJACCAの小松英樹代表理事とLOGISTICS TODAYの鶴岡昇平編集局副長が登壇した。鶴岡副長が「AIの進化で業務課題が一気通貫につながる世界へ変わった」との見解を示すと、小松代表理事は「技術の進歩で成果が出るまでの期間は確実に短縮する」と述べた上で、今後も対面イベントやオンラインセミナーを通じて情報発信を続けていく意向を表明し、イベントを締めくくった。

▲(左から)本誌の編集局副長鶴岡昇平、JACCAの小松英樹代表理事
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