ロジスティクスパナソニックグループで電気設備などを扱うパナソニックエレクトリックワークス(パナソニックEW、東京都港区)と不動産関連システム開発のライナフ(文京区)は9日、オートロック入館管理システムの普及に向けた協業を開始したと発表した。パナソニックEWのマンション向けインターホンと、ライナフのシステムをAPI連携させ、配達員などがオートロックを一時的に解錠できる仕組みを提供する。同日より全国のオートロック付きマンションへ向け、順次提案を開始する。

▲ライナフ(東京都文京区)代表の滝沢潔氏
近年、EC(電子商取引)市場の拡大に伴い、国内の年間宅配便取扱数は50億個へと増加。再配達によるCO2排出量の増加やドライバーの負担増大が社会課題となるなか、ライナフの調査ではオートロック付きマンション居住者の8割が「玄関前置き配を利用したい」と回答している。
しかし、従来のオートロック物件では防犯性の高さが仇となり、不在時にサービスを受け取れないというジレンマを抱えていた。会見に登壇したライナフ社長の滝沢潔氏は、現場で生じていた課題について次のように指摘する。
「セキュリティーを強化すればするほど外部の人が入れなくなり、生活サービスが使いづらくなっていく実態があった。例えば訪問介護のヘルパーに来てほしい時、共用部の雨どいなどにこっそりキーボックスを設置して鍵を受け渡すようなケースもあり、防犯性を高めたはずが逆に抜け穴を作ってしまうという本末転倒な状況が起きていた。だからこそ、しかるべき権限を持った人が、しかるべき入退館の記録を残して出入りできる正規の仕組みが必要でした」

▲ライナフとパナソニックEWの連携によるシステムのデモの様子
今回の協業では、パナソニックEWのマンションHAシステム Iシリーズ「Clouge」「Clouge SQUARE」と、ライナフの入館管理システム「ライナフコネクト」をAPI連携させる。
配達時やサービス提供時には、あらかじめ身元確認が完了したスタッフのみが専用ウェブアプリから「ワンタイムパスワード」を発行。ロビーインターホンに入力することで一時的にオートロックが解錠され、玄関前まで荷物を届けることができる。「いつ・誰が入館したか」の履歴はすべて記録されるため、高いセキュリティーを保ちながら入館を可能にする。
従来の仕組みとの違いについて、滝沢氏はインターホン直接連携のメリットを強調した。
「これまでライナフは、手のひらサイズの自社デバイス『Ninja Entrance』をマンションの天井裏などに設置してサービスを展開してきた。しかし今回の協業により、パナソニックのインターホンから直接サービス連携できるようになり、別デバイスの設置工事が不要となる。インターホンを通じて連携サービスが増えるほど、その物件の利便性が後から向上し、不動産の価値が上がっていく世界を目指す」
本連携の大きな特徴は、建物オーナーや入居者に費用負担が発生しない点にある。マネタイズの仕組みについて、滝沢氏はこう説明する。
「建物側の導入費用も入居者の負担も一切無料。利益は、再配達のコストや、オートロックで中に入れず訪問できなかったという『負』が解消される連携パートナー(サービス事業者)側から受け取る。事業者にとっても、再配達に伴う人件費や輸送費を削減できるメリットがある」

▲パナソニックエレクトリックワークス電材&暮らしエネルギー事業部配線SCBU長の福尾尚紀氏
協業の背景には、住宅設備のあり方そのものを変革しようとするパナソニックEW側の戦略がある。会見で登壇したパナソニックEWの福尾尚紀氏(電材&暮らしエネルギー事業部 配線システムコミュニケーションBU長)は、次のように方針を語った。
「従来のビジネスは設備を納める『売り切り型』が主流だったが、今後は設備導入後もサービスを通じてお客様とつながり続ける『循環型ビジネス』へと転換していく。自社のハードやサービスに閉じず、ライナフをはじめとする他社とのAPI連携・協業を進めることで課題解決をスピーディーに行い、マンション全体のライフタイムバリュー向上に貢献したい」
同社は今回の連携を足掛かりに、インターホンと自社サーバーをクラウドで結ぶ「ネット接続型マンション」の提案を加速。2030年度に10万世帯、40年度には200万世帯への導入を目標に掲げる。
現在、「ライナフコネクト」は生協や宅配クリーニング、訪問介護、日本郵便など40社のサービス事業者と連携しており、ライナフは2027年末までに提携パートナーを100社へ拡大する方針だ。
プラットフォーム拡大の展望について、滝沢氏は「マンションの一時入館サービスは、利用できるマンションが少ないと提携パートナーが増えず、逆に連携サービスが少ないと導入マンションが伸びないという『鶏と卵』のジレンマがあった。しかし当社はすでに全国2万3000棟、東京都内の10棟に1棟の割合で導入実績を積み重ね、良い循環に入ることができた。今後は宅配にとどまらず、訪問介護や家事代行など、暮らしを支えるあらゆるサービスを安全に届けていきたい」と意気込みを見せた。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集局にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集局直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集局
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。


































