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帝国データバンク調べ

民事再生法申請の丸山物流、10年前から資産過大計上

2014年5月7日 (水)

M&A帝国データバンクは7日、民事再生法の適用を申請した丸山物流(大阪市港区)の債権者説明会が1日午後1時から大阪弁護士会館で開催されたと発表した。

会社側からは小田会長、中尾社長、申請代理人として野城大介弁護士、森拓也弁護士ら4人が出席。また、オブザーバーとして監督委員の秋山洋弁護士も同席した。200人の債権者が出席し定刻通り開始した。

丸山物流は、海運貨物取扱業を中心に大阪港で60年以上にわたって営業を行っていたが、近年は取扱貨物の小型化・軽量化などで売上げ、利益が減少傾向にあった。これを補うため中国からの輸入業務の拡充を図ってきたが、利益率が極めて低く、利益減少を止められなかった。

こうした状況の中で2014年に入り、内航事業・外航事業のそれぞれで売上げの多くを占めていた主要取引先との間で、取引条件の見直しや取引の終了を余儀なくされ、付随して生じる倉庫事業の売上げも減少する形となり、売上げ・利益ともに急速に減少、人件費や賃料などの固定費削減に努めたものの、赤字を解消するまでには至らなかった。

これらの要因で資金繰りが極めてひっ迫していたところ、事業見直しの一環として北大阪配送センターの賃貸借契約を解約した際に、原状回復費用として1000万円以上の資金が必要となり、資金を捻出するため、2月に取引金融機関に対する返済を停止。しかし、以降も資金繰りは改善せず、同年3月には公租公課、事業所・支店の賃借料の支払が滞納する状況に陥った。

そこで、丸山物流は事業再建の実現、法的手続による透明性の確保、取引継続による申立会社の事業価値の維持と債権者への弁済の最大化――を目的として民事再生を選択した。

少なくとも3億円を超える資産の過大計上が行われていたことが判明しており、これを修正した場合には3億円の債務超過となる。また、破産を前提とする一般債権者への配当は、清算価値での評価替え、未計上負債の計上、資産と負債の相殺処理などの検討が未了のため、帝国データバンクでは「数値の算定ができていないが、一般債権者への配当の実施は厳しくなる」と予想している。

清算価値での評価替えなどは、後日裁判所に提出する民事再生法124条に基づく財産評定で行う。

■主な質疑応答(野城弁護士が主に回答)
Q.先程3億円を超える資産の過大計上があったという説明があったが、いつ頃から起きていたのか。
A.10年程前から行われていたようだ。

Q.スポンサー企業の候補はあるのか。
A.現在のところ候補となる企業はない。

Q.資産の清算価値への評価替えなどは後日行うとして詳しい説明が行われなかったが、大まかな目安としてはどれくらいになるのか。
A.正確な数値は今後の評定次第だが、6億円程度になるのではと予想している。そして、相殺処理などを行うと残るのは3-4億円程度。破産処理を行うと保険関係などで優先債権が大きくなり4億円程度になるため、一般債権者への配当は厳しくなる。

Q.少額債権への例外はあるのか。
A.10万円以下の債務は裁判所からの保全命令の対象となっていないことから、支払うことは可能。ただ、処理に間違いが起きないように、きちんと調べてから支払いたい。