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国交省、3PL成功事例報告書を公開、自治体の物効法認知度低く

2010年6月21日 (月)

ロジスティクス国土交通省は21日、地方における3PL事業の成功事例をまとめ、報告書を公開した。報告書によると、物流事業者2000社を対象に実施したアンケートの結果、3PLの実施状況は46.0%が「実施中と最も多く、「検討中」が9.2%、「実施予定なし」は44.8%だった。また、3PLを展開する上での課題としては、「物流改善の提案に要する時間と人材が不足している」が57.0%と最も多く、次いで「コストダウンの要求に十分応えられない」(42.5%)、「無償の追加作業を要請される」(39.3)、「在庫削減などにより削減されたコストが還元されない」(35.5%)――となった。

 

また、64の自治体を対象としたアンケート(2009年2月実施)では、「物流施設の誘致に対する意向」について「積極的に誘致している」は23.8%、「誘致している」が40.5%、「どちらとも言えない」14.3%、「誘致していない」11.9%と、自治体によって物流施設の誘致に対する姿勢に大きな差があることが分かった。「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法、物効法)」の認知度については、「既に利用している事業者がいる」23.8%、「ある程度の内容は理解している」26.2%、「知っているが詳しい内容は分からない」28.6%、「知らない」14.3%――と、4割強の自治体が内容を理解していない現状が判明した。

 

■報告書本編のダウンロードは下記URLより。(PDF)
http://www.mlit.go.jp/common/000047478.pdf

 

報告書では、3PL事業の成功事例から「成功のポイント」と留意点を整理し、6タイプに分類した。
6タイプは次の通り。

 

(1)資材のジャストインタイム共同納品による3PL事業
物流事業者は複数の資材納品メーカーから、ミルクランにより資材を回収し物流センターに在庫として保管する。資材を調達している工場の生産工程に合わせて、物流センターからジャストインタイムで共同納品する形態。
・成功のポイント:資材調達工場に近接した場所への物流センターの配置。短いリードタイムで小ロットのジャストインタイム納品など。

 

(2)製品物流の一括受注を実施する3PL事業
物流事業者は工場に近接した場所に物流センターを配置し、工場から全国の納品先(物流センター・卸・小売)へ製品を輸送する。物流センター内では、入荷検品・保管・荷揃え・仕分け・出荷までの作業を情報システムを使って作業の簡素化省力化を図りながら実施。
・成功のポイント:工場出荷から納入先までの製品物流の一括受注。物流センター内での作業に情報システムを活用することによって、だれでも短時間の講習で作業に従事することを可能とするなど。

 

(3)農産品物流の一括受注を実施する3PL事業
物流事業者は、生産者から消費地までの農産品の集荷、選果場での選果作業に加えて通常は量販店のバックヤードで行っている袋詰めなどの流通加工を行い、量販店などへの輸送までを一括で行う。
・成功のポイント:青果物の生産者からの集荷から消費地への輸送までの一括受託。本来は生産者が行っている選果作業の受注。

 

(4)製品と包装資材加工をセットにした3PL事業
取扱品目の違う複数の荷主から3PL事業を受託し、同じ物流センター内でそれぞれの製品を利用して流通加工を行う。例えば、製品と包装資材(段ボール)を別々の荷主から3PL受託し、物流センター内において製品を同センター内で加工した段ボールに箱詰めする作業を行って出荷している。
・成功のポイント:物流センターを核とした流通加工を伴う共同配送、複数メーカーの製品のジャストインタイム共同納品、流通加工により製品化した包装資材の物流センター内における流通加工への利用など。

 

(5)複数の製造工程と連携した3PL事業
原材料から製品に至るまでの一連の製造工程において、物流センターを核として各工場からの入庫や各工場へ出庫を繰り返しながら製品化していく。物流事業者は各工場と物流センター間の輸送や物流センター内での保管、荷揃え、仕分けなどを行っている。
・成功のポイント:製品の製造工程に合わせた物流センターを核とした入出荷、保管、配送などの一括受託など。

 

(6)情報管理、セキュリティを徹底した3PL事業
ネットショップの商品について、受注業務から出荷作業にいたるまでを物流事業者が行う。情報総合システム構築の内製化や従業員の適正チェック・セキュリティ教育など、厳重なセキュリティ対策を施した3PL。
・成功のポイント:ISOなどを取得することによる同業他社との差別化など。