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船協、海賊襲撃頻発受け海上安全セミナー開催

2011年3月7日 (月)

行政・団体日本船主協会はこのほど、海上安全セミナー「安全な航海を目指して」を開催し、同協会会員企業のほか海事関係団体、政府関係者、報道関係者など約130人が参加した。

 

依然として猛威を振るうソマリア沖・アデン湾での海賊事件、ホルムズ海峡で発生したVLCC襲撃事件など、海上輸送の安全確保に対する関心が高まっていることから、3人の専門家が海上交通路を巡る安全上の諸問題をテーマに講演した。

 

基調講演では外交ジャーナリストの手嶋龍一氏が「シーレーンの新たな安全保障を目指して」と題し、最近の中東・アフリカ情勢などを解説しつつ、「インテリジェンスを抽出する体制が国家レベルでも、企業レベルでも重要。チュニジアに端を発した中東・アフリカ地域の政情不安により、ソマリア海賊の件数が少なくとも減少はしない」との見通しを示した。

 

さらに、シーレーンの安全を脅かす潜在的リスクとして、東シナ海から魚釣島周辺を挙げ、「同海域の安定のためにも日米同盟の立て直しが急務であり、今後の中国の動きと日本政府の対応などに注意を要する」などと述べた。

 

「国土交通省での危機管理」をテーマに講演した国交省政策統括官付参事官(危機管理)の鵜沢哲也氏は、政府、国交省の危機管理体制について説明するとともに、最近の事例として北朝鮮による砲撃事案、鳥インフルエンザ発生事案を挙げ、同省の対応・取り組みを説明した。

 

また、東海大学海洋学部教授の山田吉彦氏は、調査捕鯨船に対するシーシェパードの妨害や北方領土、尖閣諸島問題など、領海、排他的経済水域での主権確保・治安維持に向けた課題を説明するとともに、シーレーンでの安全確保としてソマリア、東南アジアでの海賊事案の状況について説明を行った。