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アジア経済研究所・伊藤匡氏らが試算

沖縄貨物ハブ、時間短縮で輸出増も県経済効果わずか

2015年7月8日 (水)

調査・データ那覇空港までの輸送時間が30%短縮されることで輸出が11%伸びる一方、沖縄貨物ハブの輸出増がもたらす経済効果は県内総生産の0.3%に満たず、効果がごく小さいものにとどまる――。アジア経済研究所の伊藤匡氏らがこうしたディスカッション・ペーパーを発表し、独立行政法人経済産業研究所が8日に公開した。

論文は伊藤氏、岩橋培樹氏(琉球大学)、石川良文氏(南山大学)、中村良平(ファカルティフェロー)が「アジアへの輸送玄関 那覇ハブ空港の可能性」と題して執筆したもので、研究プロジェクト「経済グローバル化における持続可能な地域経済の展開」のディスカッション・ペーパーとして公開された。

論文では、2009年10月に操業を開始した那覇空港国際物流拠点が対アジア貿易拡大にどの程度寄与できるか、沖縄県の持続的な地域発展にどの程度貢献することができるかについて、経済学的見地から分析、考察を行ったもの。

対アジア貿易の寄与では、東京から輸出されている貨物の貿易統計をもとに運賃弾力性、時間弾力性を推定することで、「輸出されている航空貨物が那覇経由となることによって、どの程度の輸出増が見込めるか」をシミュレーション分析した結果、「輸送費用に変化がない一方で輸送時間が30%削減された場合、11%の輸出増が見込まれる」ことを示した。

また、沖縄県産業連関表を利用して沖縄貨物ハブの経済効果を推定した結果、貨物ハブの輸送サービスが同県にもたらす経済効果と、貨物ハブによる沖縄の対アジア輸出増がもたらす経済効果を合算しても、「その効果は沖縄県内総生産の0.3%にも満たず、現状ではその効果はごく小さい」ことが明らかになった、としている。

■詳細
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/15j036.pdf