調査・データドローン開発のTerra Drone(テラドローン、東京都渋谷区)は17日、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)の原油貯蔵タンク内部を非破壊検査するドローンの研究開発で、三井海洋開発(東京都中央区)との共同研究開発契約を更新することで合意したと発表した。両社は昨年、契約を結んでおり、測定精度向上や安全性強化、作業時間短縮などで成果が見られたことから、さらなる技術の実用化や運用拡大を目指す。
FPSOでは、定められた乗船人数で、生産作業と並行して検査作業を行う必要があり、効率的な検査が求められる。これまで検査は高所や閉鎖空間で人が行っており、労働安全環境上の課題ともなっていた。ドローンによる非破壊検査が可能になれば、新たに作業員を乗船させる必要がなく、安全に点検や検査を実施できる。
共同研究開発では、原油貯蔵タンクの検査作業を完全にドローンに代替させることを目標としており、ブラジル沖合のFPSOで、同社が開発した産業用ドローン「Terra UTドローン」を用いた検査技術の開発を進めている。
Terra UTは超音波の反射波を解析して、タンクの腐食状況や減肉を検査する。原油貯蔵タンクの内壁に固着した砂などの不純物や油分(ワックス)を測定前にケレンブラシで表面を清掃し、測定面を平滑に整え、超音波の伝播を助ける検査用ジェルを塗布し、センサーをタンク内壁に接触させて測定する。
昨年度は、超音波センサーの改良によって測定精度を向上させたほか、ガス検知器の搭載で作業の安全性の強化を図った。また、ケレンブラシの高性能化で、不純物や油分の除去効率が向上し、最大で従来の10倍以上の検査作業を同じ時間内に実施できるようになった。さらに有線ケーブルによる常時給電を可能にしたことで、バッテリー交換が不要となり、検査中のドローンの着陸回数を従来の10分1に削減した。
こうした成果を受け、今年度は高解像度カメラの搭載による目視点検機能の強化や、メンテナンス性を考慮した機体設計の見直しなど機体の性能向上を図る。また、有線ケーブルについても、高耐久化や、ケーブルの延長による巨大なタンクへの対応、防爆対応による安全性の強化などを進める。計測技術の開発では、検査用ジェルを必要としない計測方式を導入し、作業効率のさらなる向上を目指す。
同社は「ドローン検査技術を広く業界に浸透させるとともに、ドローンのさらなる改良と運用効率の向上を目指す。両社でドローン技術を活用し、現場での労働安全性向上や人手不足の解消、作業効率化に貢献していく」としている。
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