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郵便事業、翌日午前配達大幅縮小へ、荷主離れ加速も

2011年7月29日 (金)

話題郵便事業は29日、赤字削減策の一環として8月22日から、ゆうパックの標準送達日数を一部変更すると発表した。日本通運との宅配便統合以降、郵便とゆうパックの集配網を2本立てで運営してきたが、ゆうパックルートを廃止し、郵便ルートに宅配貨物を乗せる。これにより、同社では年間200億円の削減効果を見込むが、翌日午前配達エリアが大幅に縮小されるため、荷主のゆうパック離れに拍車が掛かるとみられる。

 

ゆうパックは元々、郵便と同じルートで取り扱っていたが、日通との宅配統合の際、「サービスレベルを下げることは避けたい」として、ゆうパック専用の集配網を構築した。しかし、郵便事業の業績は2010年度が1185億円の赤字となり、11年度も大幅な赤字が避けられないことから、ゆうパックの翌日午前配達も「無駄なことをしているのではないか」と社内外で槍玉に上がり、サービス水準の引き下げに追い込まれた形だ。

 

8月22日をめどに、支店ごとに変更後のサービスレベルを掲示することにしているが、同社では「九州など一部の地域では翌日午前配達エリアが拡大されるところもある」としている。しかし、全体的なサービスレベルが低下し、午前配達が午後配達に変更となる地域が大幅に増えるのは確実で、荷主のゆうパック離れにつながる可能性は否定できない。

 

こうした可能性について、同社では「営業担当者が事前に取引条件の変更を説明し、クリアになっている」(同社広報室)と説明しているが、通信販売分野などでは配送リードタイムが販売成績に直結する店舗も少なくないため、他社に流れる荷主は増加すると考えられる。