メディカル大日本印刷(DNP)は29日、人体から生じる汗などの水分の影響で通信感度が低下することのないUHF帯ICタグカードを開発した、と発表した。ポケットに入れたままの状態でも通信環境を良好に保つことができるため、ハンズフリーで利用できるなど、利便性が大幅に向上した。10月から販売する。
ICタグの普及に伴い、通信距離の長いUHF帯ICタグも、児童の登下校履歴の把握や老人ホーム入居者の所在検知、事業所での人や車両の入退場管理など、利用範囲が広がっているが、UHF帯の電波は水分の影響を受けて通信感度が低下する傾向があり、人体から発生する水分によってもリーダーの可読性が低下する課題があった。
DNPでは、UHF帯の電波が水分の影響を受けないようにICタグの構造やアンテナの形状を工夫し、人体に密着した状態でも水分の影響を受けず通信環境を良好に保つUHF帯ICタグカードを開発。
これにより、オフィスや工場への入退場時などにUHF帯ICカードをリーダーにかざして読ませる必要がなくなり、荷物を持った状態で両手がふさがっていても、カードをポケットに入れたまま入退場できるようになるという。
DNPは、教育機関や医療機関、工場などの入退場管理システムのほか、セキュリティシステムを扱うSI(システムインテグレーター)事業者などに販売し、2012年度に年間で約5億円の売上を見込む。
■製品の概要
UHF帯周波数:950MHz
通信距離:1-3メートル(カードを携帯する方法により通信距離が変動)
価格:ロット5000枚で、1枚あたり500円(税抜き)