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物流管理崩壊に顔認証、リスク管理と生産性革命へ

2026年1月20日 (火)

イベント物流拠点の機能高度化が進む中、現場は「人手不足」と同時に「管理の限界」という深刻な課題に直面している。1月20日、LOGISTICS TODAY主催のオンラインイベント「顔認証が変える!〜物流倉庫運営のリスク管理から生産性革命へ〜」が開催され、パナソニックコネクトの顔認証ソリューションを軸に、物流現場における「人」の管理のあり方について議論が交わされた。
WMS(倉庫管理システム)などの浸透により「モノの管理」は高度化したが、現場で働く「人の管理」はブラックボックス化しているのが実情だ。イベント冒頭、LOGISTICS TODAY編集委員の刈屋大輔氏は、物流現場の現状について「モノは1個・1円単位で管理するのに、人の管理はザルになっている」と警鐘を鳴らした。

日雇い派遣やスポットワーカーの急増に加え、外国人労働者の増加により、従来のICカードや紙台帳による管理は限界を迎えている。現場ではICカードの貸し借りが横行し、誰が作業しているか不明確な状態が常態化。刈屋氏はこれが招く経営リスクとして、火災などの重大事故や、テロ・サイバー攻撃、内部不正による盗難や異物混入などを挙げ、「性善説での管理は終わった」と指摘した。

この課題に対し、パナソニックコネクトが提案するのが、顔認証サービス「KPAS(ケイパス)クラウド」だ。SaaSビジネスユニットの津村賢一氏は、同サービスの最大の強みを「成田空港や羽田空港の顔認証ゲート(入出国管理)で採用されているものと同じエンジンを、手元のタブレットで手軽に使えるようにした点だ」と説明した。

▲パナソニックコネクトの津村賢一氏

コンセプトは「導入しやすく、使いやすく、安全・安心」。津村氏は「特殊な専用機器は必要なく、市販のiPad(アイパッド)やAndroid(アンドロイド)タブレット、スマートフォンで利用できるため、初期投資を抑えて即座に導入できる」と、汎用デバイス活用の利便性を強調した。さらに技術的な優位性について、津村氏は「世界最高水準の認証精度を誇り、経年変化や顔の角度、照明の変化、マスクや眼鏡の着用時でも高精度に照合できる」と自信を見せた。

また、現場運用を支える機能として「登録写真の品質判定技術」に言及。「顔の登録に使用する画像の質が悪いと現場運用時に認証エラーの原因になるが、本サービスでは登録時点で写真品質の良し悪しを自動判定するため、大人数の運用でも認証エラーを起こす可能性が低く、安定して使える」と述べ、現場の混乱を防ぐ技術的裏付けを示した。

▲顔登録時の品質判定技術と顔認証(照合)技術の特徴

実際の運用イメージについては、同ユニットの小橋亮太氏がデモンストレーションを実施。パッケージソリューション「現場管理サービス」を用いた実演では、タブレットに顔をかざすだけで瞬時に「入場」が記録され、リアルタイムで管理画面に反映される様子を披露した。

▲パナソニックコネクトの小橋亮太氏

小橋氏は「登録者の顔写真などを使ったなりすまし行為も、システムが即座に検知してNG判定を出す」と実演して見せ、ICカードでは防げない不正リスクへの耐性を示した。

また、管理機能について「管理画面から日報や出面表(でづらひょう)を自動作成し、エクセル形式で出力できるため、現場管理者の集計業務負荷を劇的に軽減できる」と、業務効率化のメリットを解説した。

これらの技術は、単なる入退場管理にとどまらず、現場の生産性を変革する基盤となる。同社プロダクトマネージャーの倉金健一朗氏は、顔認証を「ID(トリガー)」として活用する「生産性革命」の展望を語った。

▲パナソニックコネクトの倉金健一朗氏

倉金氏はまず、運用の簡便化について「カードの発行・回収業務がなくなり、派遣スタッフや短期雇用者でも事前に顔写真を登録するだけで、当日はウォークスルー感覚でスムーズに入場できる」と説明。その上で、「顔認証による入退場記録をWMSなどの作業実績と紐づけることで、個人やチーム単位の生産性を可視化できる」と述べた。

さらに安全管理の面でも、「例えば、フォークリフトの操作権限を顔認証と資格者データベースで連携させれば、無資格者の操作による事故を未然に防ぐことができる」と強調し、顔認証が現場の安全性と品質を担保する鍵になるとの考えを示した。

同社は「SaaSパートナープログラム」を通じて他社システムとの連携も推進している。例えば、NPシステム開発(松山市)の「AI点呼システム」に顔認証技術を組み込むことで、遠隔点呼や自動点呼時のなりすまし防止を実現している。倉金氏は「顔認証はあくまで手段だが、これをIDとしてデータを繋ぐことで、現場の課題解決や新たな価値創出につなげたい」と結んだ。

顔認証技術は、セキュリティ強化と現場のオペレーション負荷軽減を同時に実現し、取得したデータを生産性向上や安全管理に活用するデータ経営の入り口となる。物流現場の「管理崩壊」を食い止め、次世代の運営体制を構築する上で、顔認証は強力な選択肢となるだろう。

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