ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

トラック輸送の実態報告書、1割以上が「口頭契約のみ」

2011年10月13日 (木)

行政・団体国土交通省がこのほどまとめた「トラック輸送の実態に関する調査報告書」によると、荷主企業と契約する際、「書面契約を交わしている」と回答した運送事業者は4割に満たないことが分かった。

 

集計の結果、「書面で契約を取り交わしている」とする事業者は38.5%で、「書面による契約と口頭契約の場合がある」とする事業者が49.5%と半数近くを占めた。また、「口頭契約のみ」とした事業者も11.2%となった。

 

保有車両の規模別にみると、5両未満の小規模事業者で「口頭契約のみ」が25%を占めた一方、31両以上の事業者では3.7%にとどまった。しかし、31両以上でも「書面による契約と口頭契約の場合がある」が49.8%となっており、規模が大きくなっても書面契約が徹底されていない実態が裏付けられた。

 

「書面による契約を行っている事業者」を対象に、「契約書面(契約書、覚書、見積など)で、基準運賃や車両留置料などの料金、割増・割引の条件、有料道路使用料などの実費の支払いを求める条件を明記しているか」を聞いたところ、2064社のうち328社(15.9%)が無回答であったことから、報告書では「書面契約を行っている事業者の1割以上で、契約書に支払い条件が明記されていない可能性がある」と指摘した。

 

支払条件の明記の中で、最も多い回答は、「基準運賃」(83.8%)で、次いで「有料道路使用料の実費」(37.8%)、「割増・割引条件」(29.7%)となっている。

 

また、「運送原価を無視した受注の有無」については、5.4%が「頻繁にある」と回答。「時々ある」(41.5%)と合わせると、少なくとも半数の事業者が運送原価を無視した受注を経験していることとなる。

 

その理由としては「取引先との関係維持を図るためやむを得ないから」とする回答が最も多く、78.7%。次いで「一部の運行が赤字でも、全体として黒字になればいいから」(44.9%)、「車両、運転者の稼働率をあげるため」(31.8%)となっている。

 

「付帯作業の料金や実費が収受できない事例」については、「ある」と回答した事業者(「頻繁にある」「時々ある」の合計)が2割弱となっており、2割程度の事業者で付帯作業の料金や実費が収受できていないことが示された。

 

■トラック輸送の実態に関する調査報告書
http://www.mlit.go.jp/common/000167956.pdf

 

■トラック運送事業の運賃・原価に関する調査報告書
http://www.mlit.go.jp/common/000167957.pdf