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ソニー、テレビ事業で新SCMシステムなど改善策

2011年11月4日 (金)

荷主ソニーは2日、テレビ事業の2013年度黒字化達成に向け、グループ全体でテレビ事業の経営体質強化、収益性改善を図るための施策を実施すると発表した。

 

2009年11月に発表した中期計画では、液晶テレビ市場の継続的な高成長を前提に2012年度に市場シェア20%、販売台数4000万台の事業体制構築を計画したが、業界全体の成長の鈍化や欧米の景気悪化から先進国はマイナス成長となり、液晶パネルは供給不足が継続していた状況から供給過剰に急変した。

 

こうした事業環境の変化を受け、今年度の全世界販売台数見込みを2000万台に変更し、この規模でも安定的収益基盤を確立できるよう、必要な施策を実施することにしたもの。

 

液晶パネル関連コストの改善で改善額の約4割、商品力強化とオペレーション改善による限界利益率改善で約3割を捻出。先進国はモデルミックスの改善に集中し、新興国ではニーズに合わせた地域別モデルの強化により、市場成長以上の拡大を目指して、収益性の向上を図る。

 

4000万台体制から2000万台体制への転換に伴い、さらなる固定費削減を進めていくが、製造事業所のアセットライトを進めてきたことから「既に固定費の削減は相当の効果が出ており、現状は変動費、特にその中でも最も大きな割合を占める液晶パネルの調達コストの削減が大きな課題」としている。

 

ソニーは、テレビ事業の2000万台体制への転換を進めるにあたり、今年度中に設備の減損やモデル数削減などを行うため、追加費用が約500億円発生する。この費用も含んだ今年度のテレビ事業は、売上高8750億円、営業損失1750億円を見込む。

 

これらの施策を実施することで、2012年度に営業損失を半減し、2013年度に黒字化を目指す。2011年度の損失見込みから、今年度の方針転換に伴って発生する追加費用約500億円を除いた1250億円を、2013年度に黒字化を実現するために必要な改善額と設定する。

 

具体的には、新しいサプライチェーンマネジメントシステムの導入により、来年度には在庫回転日数を約10日間削減。超解像高画質エンジンなどの独自技術の進化・展開と次世代テレビの開発を進め、複数の機器、ネットワークサービスなどの連携による「統合UX(ユーザーエクスペリエンス)」の実現を期す。

 

さらに、1事業部で運営していたテレビ事業を1日付で、(1)グループ内設計・製造による製品価値の向上に注力する既存液晶テレビ事業領域(2)設計・製造の外部委託により低コスト製品を実現するODM事業領域(3)次世代テレビ開発――の3事業部に再編し、各事業のターゲットを明確化した運営を実行するとともに、マーケティング、商品戦略機能を統合し、商品化プロセスを強化する。

 

のこる3割は、販売会社での販管費の削減、研究開発費の効率化、間接コスト削減でまかなう。