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東京流通センター新B棟工事に最新環境技術、大林組

2016年6月14日 (火)

拠点・施設大林組は13日、同社が受注している東京流通センター物流ビルB棟の新築工事で、発注者の東京流通センター(TRC、東京都大田区)の意向を受け、自社が持つ高度な環境技術を適用していることを発表した。

東京流通センター新B棟工事に最新の環境技術、大林組

▲東京流通センター 物流ビルB棟完成予想図

この工事は、東京流通センター物流ビルB棟を地上6階建て、延べ面積17万1300平方メートルの次世代・都市型物流施設に建て替えるプロジェクトとして、テナントニーズの多様化や建物の長寿命化ニーズに対応するため、倉庫外周部全体に「将来用」を兼ねた設備バルコニーや歩廊を設置。倉庫だけでなく多様な用途に対応できる柔軟性を確保している。

また、内部空間は柱スパンと梁下有効高を拡大することで有効スペースの広い大空間を実現、物流効率の向上だけでなく、全区画にわたって人と車の動線を分離する設計や免震構造の採用など、BCP対策を含めたテナントへの配慮を施す。

環境面では、TRCの意向を受けて全館LED照明を取り付けるほか、低炭素型のコンクリート「クリーンクリート」の採用や既存杭の再利用など、大林組の環境技術を多く適用。

クリーンクリートは同社が2010年に開発し、15年に文部科学大臣表彰を受賞した低炭素型のコンクリートで、セメントの大部分を高炉スラグ微粉末などの産業副産物に置き換えることで、CO2排出量を大幅に低減。今回は免震装置下のマットスラブ(耐圧盤)に採用した。

同社はこれまで延べ5万2000立方メートルの施工実績を持つが、今回の工事では過去最大の3万3000立方メートルを打設する計画で、CO2削減量はこの部分だけで5600トンに達するという。

東京流通センター新B棟工事に最新の環境技術、大林組

▲スマートパイルヘッド工法

また、建て替える敷地の支持地盤の深さが異なり、深い部分では基礎の剛性を強化する必要があったため、この部分に存在していた既存杭を有効利用することで、基礎のねじれを抑制している。有効利用する既存杭の健全性については、日本建築センターの一般評定を取得した「IT試験結果の合理的評価法」を用いて定量評価を行った。

既存杭の杭頭接合方法には、大林組が開発した「スマートパイルヘッド工法」を採用。杭頭とマッドスラブを完全に固定せず、地震発生時には杭頭が容易に回転することで杭や基礎部の負担を低減する。この工法を既存杭へ適用するのは初めて。

■工事概要
名称:東京流通センター物流ビルB棟新築工事
所在:東京都大田区平和島
発注者:東京流通センター
設計・施工者:大林組
工期:2016年3月-2017年6月
建物概要:地上6階建て
延べ床面積:17万1300平方メートル