調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都港区)は16日、「業績予想」「過剰債務」に関するアンケート調査の結果を公表した。結果はインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6602社を集計・分析したもの。
2025年度の業績について1年間を通じた大まかな売上高と利益(経常利益ベース)の見通しを尋ねると「(売上)横這い(利益)横這い」の29.4%(24年6月の前回調査は20.9%)が最も多かった。次いで「減収減益」の17%(同18.1%)、「増収増益」の16.6%(23.3%)と続いた。「増収」(増収増益+増収横ばい+増収減益)は30.6%(39.9%)、「売上横這い」は44.5%(33.1%)、「減収」は24.8%(26.9%)だった。「増益」(増収増益+横這い増益+減収増益)は24.8%(32.7%)、「利益横這い」は42.9%(34.9%)、「減益」は32.1%(32.3%)となり、前回調査と比較して売上・利益ともに苦戦する企業が目立つ結果となった。
「増益」と回答した企業に理由を尋ねると、最多は「受注(販売)の伸長が見込まれる」の66.6%だった。以下、「価格転嫁が進んでいる」の38.3%、「製造・サービス提供の工程や方法の見直しによる効果」の12.3%が続いた。規模別でみると、「価格転嫁が進んでいる」は大企業は43%だったのに対し、中小企業では37.8%にとどまった。
「減益」と回答した企業に理由を尋ねると、最多は「受注(販売)が落ち込んでいる」の59%だった。また「仕入高騰分の価格転嫁が進まない」の43.9%、「光熱費、燃料価格高騰分の価格転嫁が進まない」の37.3%、「賃上げ分の価格転嫁が十分に進まない」の37.1%と価格転嫁に関する回答が目立った。また「トランプ関税による受注機会の喪失」の9.6%など、トランプ政権の動向が利益に影響を与えるとの回答もあった。
負債比率や有利子負債比率など定量数値に限定せず、債務の過剰感を聞くと「コロナ前から過剰感」は9.2%、「コロナ後に過剰感」は15%となり合計24.3%が「過剰債務」と回答。前回調査からは1.7ポイント改善した。「過剰感あり」(コロナ前から+コロナ後に)を業種別で分析すると、「印刷・同関連業」が50.7%で最も多かった。「道路旅客運送業」は50%で、2業種が50%以上だった。規模別でみると大企業の「過剰感あり」は13.9%だったのに対し、中小企業では25.1%に達した。
結果を受け、同社はこれまで常とう手段だった信用補完を中心とした支援だけでは乗り切ることが難しいと分析し、政策立案や伴走支援では業種や企業の特性に則した対応が必要になっているとした。
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