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女性ドライバー採用最大障壁はトイレ、X Mile調べ

2025年6月16日 (月)

調査・データノンデスク事業者向けのデジタルサービスを手がけるX Mile(クロスマイル、東京都新宿区)は16日、「クロスワークしごと白書2025」第4弾として、女性トラックドライバーの雇用実態調査結果を発表した。調査はことし3月12日から21日にかけて、全国の物流事業者の経営者・役員185人とトラックドライバー720人の計905人を対象にウェブアンケートで実施した。同社は全日本トラック協会の統計による女性ドライバー比率が3%にとどまる現状に問題意識を持ち、今月23日から始まる「男女共同参画週間」を前に、採用と定着の課題に着目した。

企業の36.2%が「女性採用に注力予定なし」と回答した。「積極採用」は24.3%と4分の1程度にとどまった。地域別では四国が33.3%で最も高く、東北が最低水準となった。ドライバー不足解消を理由に採用を拡大した企業は4割弱で、7%が「今後女性採用をストップ」と回答。消極的な採用姿勢が明らかになった。

(クリックで拡大、出所:Xマイル)

採用における最大の課題は「応募者数の少なさ」(75.6%)だった。業界の魅力不足や効果的なアピール方法の不明確さなど、業界の訴求力不足も大きな障壁だ。厚労省調査によれば、全産業で女性労働者は4割超を占める。その一方、道路貨物運送業では2割にとどまっている。

物流現場では、全体の49.7%が「女性ドライバー特有の課題」を抱えていると回答。男女別では、男性の48.2%が「悩みがある」としたのに対し、女性は72.3%と高い割合を示した。最大の課題は「トイレ確保」(55.6%)で、次いで「体調管理の困難(生理など)」(50.6%)。物理的・生理的なインフラ整備の不備が浮き彫りとなった。国交省は道の駅や高速道路の女性向け設備整備を進めているものの、現場での改善実感は乏しい。

(クリックで拡大、出所:Xマイル)

課題認識には男女で違いが見られる。男性は「女性専用設備の不足」(24.5%)、「給与差」(19.6%)、「体力差」(19.6%)を挙げる一方、女性は「体力差」(20.9%)、「設備不足」(18.6%)、「理解不足」(16.3%)を重視している。給与・昇進への不満や孤立・偏見も指摘している。職場環境の物理的インフラ整備は共通課題だが、社内風土やキャリア形成では認識にギャップが生じている。

企業側は採用施策として「働きやすい環境づくり」(28.9%)、「セクハラ・パワハラ防止策徹底」(20.0%)、「女性用休憩室や更衣室の設置」(20.0%)を重視している。一方、現場の女性が求める支援は「女性専用設備」(42.2%)、「男女別トイレ整備」(41.5%)が上位を占めた。企業施策と現場ニーズに大きな差異が存在する。具体的な要望として、女性は「トイレ整備」(12.8%)、「専用休憩室・更衣室設置」(10.8%)、「運転席や荷台の改良」(10.8%)を、男性は「運転席や荷台の改良」(10%)、「ハラスメント対策徹底」(8.52%)を重視している。女性の安全意識の高さも。

同社は人手不足の物流業界における女性採用の停滞と設備環境とのギャップの顕著さを指摘した。女性比率の低さとイメージ不足により応募数が伸び悩んでいる。現場の根本的な課題はトイレ・更衣室等のインフラ未整備にある。企業イメージや雰囲気づくりと、現場が切実に求める設備整備との間で認識のズレが拡大している。また、国交省の「トラガール促進プロジェクト」による育成推進にもかかわらず、物流現場の95%以上が依然として男性ドライバーであることも明らかになった。

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LOGISTICS TODAY編集部
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