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帝国データバンク調べ

運輸・倉庫の女性管理職比率が低下、全業種中最下位

2016年8月17日 (水)

ロジスティクス人手不足が課題となっている物流業界で期待の解決策の一つと見なされる「トラガール」。国土交通省や全日本トラック協会など、行政・業界を挙げて女性の活躍推進に取り組んでいるが、こうした業界動向と異なる調査結果が発表された。

運輸・倉庫業の女性管理職比率

帝国データバンクがこのほど公表した「女性登用に対する企業の意識調査」によると、運輸・倉庫業で女性の管理職が占める割合は4.2%(2016年7月調査)で、前年の調査結果と比べて0.6ポイント低下したことが判明した。

ほかの業種(小売・不動産・サービス・金融・農林水産・卸売・製造・建設)と比べると、15年調査時点では建設業を上回る7位だったのに対し、今回の4.2%は全9業種のなかで最下位。

全業種平均の6.6%を2.4ポイントも下回った。前年調査では平均(6.4%)との差は1.8ポイントで、国全体で女性の活躍推進が進展しているなか、運輸・倉庫業は逆の動きを示している。最も高い小売と最も低い運輸・倉庫には9.3ポイントの開きがあり、業界間格差は前年の8.4ポイントから拡大した。

運輸・倉庫業で女性の活躍機会が広がらないのは、利益率の低い事業環境が影響している可能性がある。北海道のある運送会社の女性は「産休・育休間の仕事の手当てをどうするか。余剰人員を抱えていないため、引継ぎがスムーズにいかない」と話す。

トラック運送事業者数体力のある大手では育児休暇制度の導入などが進んでいるものの、トラック運送業のなかで車両台数200台以下の事業者が占める割合は99.5%と他業種に比べて圧倒的に「中小・零細企業」が多いため、「そこまで手が回らない」というのが実情だろう。

だた、この調査が女性の「管理職」を対象としている点には注意が必要だ。経営規模が小さな一般的運送業では、そもそも「管理職」のポスト自体が少なく、昨今の課題となっている人手不足も主にドライバーや現場作業員が不足しているのであって、「女性の管理職」が不足しているというのは少し違う。

安倍政権は日本再興戦略2016のなかで、2020年までに「指導的地位に占める女性割合30%」を目標としているが、女性の活躍推進と人手不足に対する取り組みは別のものと考えたほうが現実的ではなかろうか。