ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

一五不動産情報サービス調べ

物流施設賃貸市場、関西圏の新規供給が過去最大

2016年8月31日 (水)

調査・データ一五不動産情報サービス(東京都墨田区)が8月31日に発表した物流施設の賃貸マーケット調査結果によると、東京圏の賃貸用物流施設の空室率(7月時点)は4.4%となり、前期の4.6%から0.2ポイント低下した。

東京圏の新規供給は47.3万平方メートルで比較的高い水準となった。新規需要も堅調で新規供給を若干上回る48.1万平方メートルとなり2四半期連続で受給改善となった。募集賃料は4000円(1坪あたり)で、前期から横ばい。

具体的にみると、オリックスは「市川塩浜ロジスティクスセンター」でディーエイチシーとの賃貸借契約の締結を発表、プロロジスは「プロロジスパーク千葉ニュータウン」の竣工式の挙行、「プロロジスパーク習志野5」で大手3PL企業の賃貸契約の締結を発表した。

また、ラサール不動産投資顧問はトナミ運輸向けの「ロジポート平塚新町」の竣工、シーアールイーによる「ロジスクエア久喜」はインテリア業界大手のサンゲツの物流拠点として稼働し、「ロジスクエア羽生」には国内大手物流企業が入居する。このほかGLPの「GLP厚木II」が竣工、イオングローバルSCMとUDLの入居で満床、2015年12月竣工の「GLP八千代」も満床となった。

東京圏では新規供給によって潜在的な需要を喚起される好循環が続いており、足下の需給環境は安定している。今後の開発計画でも、メープルツリーインベストメンツジャパンの開発拠点に、ブレインウェーブが「はぴロジGARB」を開設、e-Shang Redwood(イーシャンレッドウッド)が川崎区東扇島で開発用地14万平方メートルを取得し、賃貸面積が最大で56万平方メートルの大規模物流施設3棟を段階的に開発するなど、大規模物流施設の開発計画が発表されている。

一五不動産によると「東京圏では堅調なニーズが期待できるものの、需要を大きく上回る供給水準となる懸念もあり、空室率の上昇圧力が徐々に強まりそうだ」。

一方、関西圏の空室率は3.6%となり、前期から1.4%から2.2ポイント上昇した。新規供給は219万平方メートルとなり、調査開始以来最大となった。新規需要は14.1万平方メートルで、新規供給の6割の水準にとどまった。今期の募集賃料は3390円となり、前期から横ばい。2015年7月の3560円をピークに3四半期連続で下落していたが、今期で下げ止まった。

具体的にみると、三井物産リアルティ・マネジメントの「六甲アイランド物流センター」が竣工 、住友商事による「SOSiLA大阪西淀川I」が竣工、伊藤忠商事とメイプルツリーグループの共同開発「アイミッションズパーク堺」が竣工した。新規開発の発表も続いており、ラサール不動産投資顧問と三菱地所は「ロジポート大阪大正」を共同開発、GLPはマルチテナント型物流施設「GLP枚方III」と「GLP神戸西II」の開発、アスクル専用の「GLP吹田」の着工を発表した。

また関西圏では新名神高速道路の整備に合わせ、土地区画整理事業や産業団地の造成が相次いでいる。好立地での物流用地が増える見込みで、中長期にわたり物流施設の大量供給が続きそうだという。