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日本製紙、軽量高強度新素材開発へ富士工場に実証設備

2016年12月15日 (木)

荷主日本製紙は15日、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ナイロンなどの樹脂にCNFを混練することで得られるCNF強化樹脂の実用化を推進するため、富士工場(静岡県富士市)に実証生産設備を新たに設置する、と発表した。

2017年6月に稼働する計画で、年間10トン以上のCNF強化樹脂を生産することができる。自動車、建材、家電など、幅広い産業へ向けてサンプル提供を行うという。

CNFは、木材パルプをナノレベルまで細かく解繊したもので、軽量で弾性率が高く熱寸法安定性が良好であるなど、多くの優れた特性を持つ。樹脂への混練により、樹脂を軽量で高強度化する新素材としての利用が期待されているが、CNFは親水性が高いため、樹脂などに均一に分散させることが技術的に困難で、CNFの疎水化法を確立することが課題だった。

同社は京都大学を拠点として実施されている国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに参画しており、CNF強化樹脂の開発に取り組んでいるが、このプロジェクトで得られた知見を利用し、CNF強化樹脂を大量生産する製造技術の実用化を目指すとともに、具体的な用途開発を進めていくことにした。

研究開発体制を再編し、17年下期からCNFの用途開発を進めるCNF研究拠点を富士工場に移転。CNFはすでに石巻工場(宮城県石巻市)、ケミカル事業本部江津事業所(島根県江津市)の2拠点で、それぞれ用途に応じたCNF量産設備の設置を進めているが、CNF強化樹脂では、関東・中部地域での自動車用途などでの利用を見込んでおり、富士工場の実証生産を通じて実用化のスピードアップを図る。