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昨年3月の居眠り中型トラックの追突事故で

自動車事故調、「過酷勤務で疲労蓄積」指摘

2017年12月6日 (水)

話題国土交通省は6日、昨年3月に広島県東広島市の山陽自動車道のトンネルで、居眠り運転していた中型トラックが渋滞中の車列に突っ込み2人が死亡、4人が負傷した「特別重要調査対象」の事故について、事業用自動車事故調査委員会(自動車事故調)が議決した調査報告書を公表した。

この事故は、昨年3月17日7時26分頃、八本松トンネルの下り線で引越荷物2トンを積載したトラックが片側2車線の第1通行帯を走行中、渋滞で停止中の車列に追突し、合わせて12台の車両が関係する多重追突事故となって、中型トラックを含む5台の車両に火災が発生したもの。

この事故では関係した相手車両の運転者2人が死亡し、相手車両の運転者3人、同乗者1人の合わせて4人が軽傷を負った。

(出所:国土交通省)

事故の要因について、報告書は「運転者が、事故発生日までの連続する乗務の疲れから居眠り運転をし、渋滞停止中の前方の車列に気付かず、ブレーキを踏むなどの回避操作をすることなく毎時80キロで追突して発生した」と指摘。

自動車事故調の調べで、運転者は事故前々日に一睡もすることなく計36時間の乗務を続けるなど、過酷な勤務状況で疲労が蓄積している中、この運行でも出発が1日遅れるほどだったにもかかわらず、「当初の到着予定時間に間に合わせるために十分な休憩を取らずに長時間の連続運転を行った」ことが居眠り運転につながったとの考えを示した。

また、運行管理者の責任として「運転者の過酷な勤務状況を把握しながら、疲労を回復させるための措置を取らず、また、始業点呼の際に、同運転者の疲労状況を注意深く確認せずに運転させた」、会社代表者については「運行管理業務を運行管理者に任せきりにし、運行管理者は法令で定められた業務を正確に理解せずに実施していた」などとし、「安全管理の重要性に対する認識の欠如が、事故の背景にある可能性」に言及している。

■事故調査報告書
http://www.mlit.go.jp/common/001213242.pdf