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東京商工リサーチ調べ

豪雨被災地域の運輸業は4724社、影響拡大懸念も

2018年7月17日 (火)

話題東京商工リサーチの調べによると、西日本を中心とした豪雨の被災地域に本社を置く企業は17万2128社で、このうち運輸業は2.7%に当たる4724社にのぼることがわかった。

最も多い産業は「サービス業他」の5万9000社(34.2%)。規模別では資本金1億円未満(個人企業含む)が17万854社と全体の99.2%を占めた。従業員数は175万1534人で、資本金1億円未満の企業は127万4391人に達した。

広範囲に甚大な被害が、水や電気などのライフライン、物流の復旧に時間がかかる見通しだが、東京商工リサーチでは「操業再開の時間が長引くと企業経営だけでなく、雇用にも影響が及ぶ可能性が出てきた」と影響が拡大していくことへの懸念を示している。

次いで多かったのは建設業の3万6517社(21.2%)で、小売業の2万1176社(12.3%)、製造業の1万8378社(10.6%)と続く。人的被害が大きかった広島県、岡山県、愛媛県の3県では、愛媛県は「サービス業他」の構成比が29.4%と、唯一30%を切っている一方、製造業は12.7%(8124社中1034社)に上り、ほかの2県を3ポイントほど上回った。金融・保険業は、3県とも構成比は1%の水準だった。

産業を細分化した業種別で、被災地域に本社を置く17万2128社のうち、最多は「総合建設業」の1万6810社(構成比9.7%)。次いで「とび」や板金、塗装工事など「職別工事業」の1万1207社(6.5%)、病院や診療所、歯科などが含まれる「医療業」の9567社(5.5%)と続く。

業種別トップ15では、小売業や飲食業など、一般消費者を対象とする企業も多いことから、東京商工リサーチは「被災地域までの物流の混乱は、コンビニやスーパーなど、消費者に密接な商品を扱う店舗で日ごとに影響が広がっている可能性がある」と指摘する。

日本酒「獺祭」(だっさい)を製造する旭酒造の蔵と直売所も床上浸水の被害を受けており、製造再開には2か月以上を要す可能性もあるとみられる。旭酒造は日本酒製造の最終工程まで手がけるメーカーだが、被災した企業には半製品や部材の加工メーカーなどが多く含まれる。

国内製造業は分業体制を敷いており、サプライチェーンは全国に張り巡らされていて、東日本大震災の当時と同様に今回も被災地域に事業拠点のない企業の生産計画に影響することが懸念されている。