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芝浦工大、車同士の通信用い渋滞所要時間10%減

2018年7月23日 (月)

拠点・施設芝浦工業大学は23日、情報通信工学科の森野博章准教授が、アナログテレビで使用されていた700MHz帯の周波数を用いた車と車間の通信による自然渋滞解消支援手法を提案し、サグ部(緩やかな下り坂のあとに緩やかな上り坂が続く、自然渋滞頻発箇所)での平均走行速度が10%向上することを明らかにした、と発表した。

▲高速道路の登り坂で渋滞が発生するポイント(出所:芝浦工業大学)

渋滞を早期解消するアプローチとして、「渋滞吸収運転」と呼ばれる、後続車両が速度を落として渋滞車群への到着を遅らせる方法が議論されてきたが、そのためには渋滞を検出してリアルタイムにドライバーへ適切な速度制限を促すことが重要となっている。

そこで森野准教授の研究では、700MHz帯の周波数を利用した通信距離が最大1000メートル程度の車と車間の通信により車両間で情報交換を行い渋滞の解消を支援する手法を提案した。

具体的には、700MHz帯で動作する無線通信方式を用いた通信で、送信電力を変化させて伝搬距離の短い通信(100メートル)と伝搬距離の長い通信(1000メートル)の2つのモードを切り替える。各車両は短距離通信モードを用いて定期的に自車の速度や位置情報を周囲の車両と交換。自車の低速走行状態が一定時間以上継続し、前方に車両がいる場合、渋滞の初期状態だと判断して長距離通信モードにてこの情報を後方に送信する。

情報を受信した後方車両は、走行速度が予め決められた値より高ければ一定の減速度で減速するよう、ドライバーに促す。

東北自動車道矢板IC付近で渋滞が発生した日時に測定された車両速度・時刻のデータを用いて、汎用シミュレータで性能評価を行ったところ、この通信が可能な車載器を搭載した車両が全体の2-40%と低い場合でも、サグ部所要時間を5-10%減少させることが明らかになったとしている。