ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

特殊RFID活用、ワイン棚卸し時間が8分の1に短縮

2018年8月2日 (木)

▲ボトルに装着したRFIDをリーダーで一括読み取り

サービス・商品リゾートトラスト(名古屋市中区)が運営する完全会員制のリゾートホテル「東京ベイコート倶楽部ホテル&スパリゾート」(東京都江東区)は、すべてのワインの商品在庫管理向けにRFID(非接触ICタグ)システムを導入した。

サトーホールディングス傘下のサトーマテリアルが開発した特殊なUHF帯タグを導入したもので、一般的なRFIDを液体の入った容器に貼り付けた場合、干渉でうまく読み取れないケースが多いが、今回の特殊タグはボトルに巻き付けるバックル型とし、50センチほど離れた距離からも問題なく読み取れるように設計した。

ボトルに直接貼り付けないため、ワインの品質への影響がなく、サトーはRFIDの脱落、差し替えを防止するセキュリティーラベルとセットで提供。再利用して形状の異なるボトルに取り付けることもできる。ワイン1ケース(12本)への取り付けにかかる時間は10分程度で、同ホテルは初回分として1万本に導入した。

これまで東京ベイコート倶楽部では、和食・洋食・イタリアン・中国料理の各レストラン、バーやラウンジなどのアウトレットで提供する5000本のボトルワインを棚卸しする際、ソムリエがワインを一本ずつ棚から取り出して慎重に行い、棚卸し実績を購買システムに手入力していた。

ワインを多く提供する洋食レストランでは、月末の棚卸し作業に2人で8時間(計16時間)かかっていたが、RFID導入後は1人が2時間の作業で完了し、所要時間は8分の1に削減された。

■「東京ベイコート倶楽部」月末棚卸しのRFID導入前後の作業人数・時間、ワイン以外の商品(RFID非搭載)も含むトータルの作業時間

施設RFID導入前作業人数RFID導入前RFID導入後RFID導入後
(2人1組)延べ作業時間作業人数延べ作業時間
洋食レストラン2人16時間1人2時間
イタリアンレストラン2人8時間1人1.5時間
ホテル全体16人38時間8人9.5時間

▲特殊RFID

リゾートトラスト東京ベイコート倶楽部の川村勝洋氏(業務部部長)は「5000本のワインに対して従来の棚卸しの課題であった効率化を実現するとともに、見間違えなどによるミスがなくなった。また、瞬時に在庫を確認することができるため在庫管理の精度が向上し、在庫の紛失リスクの低減にもつながっている。今後はワイン以外の商品にも管理対象を広げるとともに、ほかのホテルへも採用を広げていく」と話す。

また料飲部部長の相原克彦氏は「内部統制の強化も目的にRFIDを導入した。将来は棚卸し、在庫管理の透明性を担保しつつ、RFIDの特性を生かしてワインリストのタブレット化を計画している。実現できれば業務のペーパーレス化と短時間でのワイン在庫の更新が両立でき、顧客への対応スピードの迅速化や従業員の作業時間の短縮化が実現できる。導入の投資効果がより高まることを期待している」と、さらに活用の幅を広げる考えを示した。