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イーパー、「脱段ボール」実現へ新包装体配送試験

2018年11月26日 (月)
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話題物流系ITベンチャーYper(イーパー、東京都渋谷区)は26日、日本包装機械(品川区)と、「脱段ボール」を実現した新しい包装体での配送試験を実施すると発表した。

今回、イーパーが手がける置き配バッグ「OKIPPA」(オキッパ)への配送に、日本包装機械が開発している「AirBall」(エアボール)と呼ばれる「エアー式緩衝材×シュリンクフィルム包装」の新たな包装体でのサンプル配送を試験的に行う。

11月1日に、大手段ボールメーカーのレンゴーと王子マテリアは、ともに段ボール原紙の価格を現行価格よりも8円(1キロあたり)以上値上げした。両者ともに古紙の海外需要の高まりや物流経費の上昇を値上げ要因として挙げているが、こうした段ボール原紙の価格上昇は、国内の段ボール消費量の5.2%を占める通販・宅配(引っ越し)用段ボールの価格にも影響を及ぼす。特に宅配物量がピークを迎える12月は、段ボールの消費量も1年も最多となる。

宅配物量の増加とともに、国内の通販・宅配で消費される段ボールの量も年々増加している一方で、ことしの夏から米中の貿易摩擦を背景とした、急激な段ボール輸出量の増加により、国内の段ボール価格も上昇した。こうしたなか、日本包装機械は段ボールを使用しないエアー式緩衝材×シュリンクフィルム包装の新たな包装体を提案している。今回、通販物流の川上から川下まで脱段ボールで完結させる取り組みとして、オキッパとエアボールが協力して実現した。

エアボールは、日本包装機械が開発した新しい包装形態の名称で、エアー式緩衝材とシュリンクフィルムの組合せで商品自体を直接包装し、段ボールなしでそのまま配送も容易にできる。また同社はエアー式緩衝材と贈答品向ギフトラベル包装機を応用し、エアボールを自動包装化するシステムの開発、製造販売も手がけている。

脱段ボールを実現することで、資材費を約半分に抑えられ、段ボールのようにかさ張らないので物流の効率化にも貢献。荷物を受取る側も段ボールより製品サイズに合わせたコンパクト包装なため、開封したら空気を抜くだけでフィルム状になることから容易に処理でき、ゴミの削減につながる。市販の定型サイズ箱の包装であれば全自動化することができる。

現在、オキッパアプリ内でオキッパバッグ利用者への無料サンプル配送キャンペーンを実施している。このサンプルの配送向け包装を、エアボールを用いて実施しており、写真のようにエアー式緩衝材の形状は丸型だけでなくさまざまなカラーやタイプがあり、星型やハート型、そしてシュリンクフィルムのカラー変更、ロゴ入れも可能となっている。

また、エアボール自動包装機システムのスタンダード機は贈答品向に多くの百貨店で納入実績がある。定形外の商品に関しても、小型の半自動シュリンク包装機でサンプル品包装が可能となっている。同じ容積のオキッパバッグにも、通常の段ボール梱包では5箱しか預入できないが、エアボール梱包であれば商品を40個預入でき、商品形状によってはエアボール梱包をすることで荷姿を大幅に小さくすることが可能となる。