国内関東運輸局は18日、長距離幹線輸送準大手の西部運輸(広島県福山市)傘下で7月18日から30日間の事業停止処分などを受けていた関東西部運輸(千葉県野田市)について、処分中に「法令違反の疑いがある」との情報提供を受けて特別監査を行った結果、同運輸局管内の全営業所で貨物自動車運送事業法違反があったとして、18日から20日まで3日間の事業停止を命じた。
行政処分が行われた場合、通常は処分が終了した後に違反項目が改善されたかどうかを確かめる「確認監査」が行われるが、今回は確認監査に至る前の処分期間中に、5か所もの事業所へ監査に入る異例の展開となった。
この結果、関東西部運輸は累積違反点数が73点に達し、処分基準で定められている「3日間の事業停止処分」に該当。今夏の事業停止処分終了からわずか4か月後という短期間にもかかわらず、今回は関東管内の7事業所すべての事業停止に追い込まれる結果となった。
処分対象となった事業所は本社営業所(千葉県野田市、配置車両数200台)、茨城支店(茨城県鹿嶋市、41台)、栃木支店(栃木県矢板市、44台)、埼玉支店(埼玉県本庄市、40台)、川口営業所(同県川口市、6台)、船橋営業所(35台)、神奈川営業所(神奈川県綾瀬市)――の7事業所で、停止対象の車両数は合わせて400台。
実際に特別監査に入ったのは茨城支店、栃木支店、埼玉支店、船橋営業所、神奈川営業所の5か所で、これらすべての事業所で乗務時間の基準告示が守られていないなどの「運転者の過労防止」違反、点呼の実施違反、無認可で車庫を新設した違反、運行管理者に対する指導監督義務違反を確認した。
運送業界は年末繁忙期の最中にあり、幹線輸送を中心とした同社のトラック400台が再び「止まる」事態となったことで、ただでさえ人手不足によって厳しい環境にある物流への影響が懸念される。また、今回の処分で関東管内における累積違反点数は73点に達したが、81点を超えると最も重い「許可取消処分」に該当することから、同社には早急な改善が求められることになる。